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早織 映画「辻占恋慕」ワールドプレミア上映舞台挨拶!
同作は、TAMA NEW WAVEでグランプリ他3冠に輝いた傑作『ウルフなシッシー』やYouTubeドラマから発展した人気作『アストラル・アブノーマル鈴木さん』など、不器用で一筋縄ではないキャラクターたちの日常と”ジワる”人間臭さを照射し、心に刺さる台詞の数々と骨太な構成でファンを獲得し続けている鬼才・大野大輔監督が描く、変わりゆく時代を生きる”持たざる者”たちのほろ苦い青春ラプソディ。
時代に取り残されたシンガーソングライター・富岡恵美と、彼女を支えるマネージャー・信太。アイドル商法、FMラジオ暴行事件、家賃滞納、師匠(独居老人)の介護、冠婚葬祭、SNSリテラシー、バイトのシフト。込み入った問題が山積の中、様々な人と出会い、それぞれの道を彷徨い始める2人。そして『ライヴエンド』を超える衝撃と戦慄のクライマックス20分が幕を開ける…!
早織は、同作の主人公・富岡恵美を演じる。
オファーを受けたときのことについて早織は、「まだ台本がなくプロットの段階で、“もし興味を持っていただけたらお会いしませんか?”とお声をかけていただきました。プロットを読んだときに、人物像に惹かれました。選択されている言葉が独特で、例えば恵美の紹介として“涼しい顔で無自覚に毒を吐く”と書いてあるんです。まずは言葉のチョイスに惹かれて、プロットを書かれた監督がどんな方なのかお会いしたいと思いました。」と振り返った。
その後、最初は3時間におよぶ脚本だったという話題で、「暴力的な文字数でした(笑)。でもすごく面白くて。削ってしまうのがもったいなく感じられて、改訂されるたびに寂しい思いもしました。」と話した。
自身が演じる富岡恵美はシンガーソングライターという役柄。それまでギターを弾いたことはなかったため、練習を重ね、実際に演奏するまでに上達した。早織は、「アーティスト役とマネージャー役、どちらがいいかも聞いていただいたことがありました。私自身、アーティストの役を演じてみたいと思ったのと、映画で女性が男性アーティストを支えるという構図は見たことがあったのですが、その逆はあまりなかった気がしたので、見てみたいと思いました。
自分がやると言ったものの何もできないですし、(ギターは)あてぶりだと思っていました。ただ、あてぶりをするにしてもギターを持ったこともなかったので、練習をしようと思って始めたのが2019年の春でした。一生懸命ギターの練習をしていたおかげだったかは分かりませんが、大野監督から“現場で音を録りたい”と言われまして…思いもよらぬ良いプレッシャーになりました(笑)。西山小雨さんが楽曲を作ってくださったのが2020年の2月~3月で、そこから西山さんにアドバイスをいただきながらの練習が始まったのですが、コロナ禍に入ってしまったことにより会って綿密に音楽の打ち合わせをすることができなくなってしまいました。西山さんに楽曲とコード譜を送っていただいて、一人で練習して、練習したものを録音して西山さんに送り、西山さんに聞いていただいてアドバイスをいただくということをやっていました。西山さんの返してくださる言葉や動画に励まされながら続けられたと思います。」と当時を振り返ると大野監督が“プロの方にも引けを取らないクオリティまでいってくださって、(コロナで)諦めかけたこともあったが、努力を無駄にできないと思った”と回顧した。
撮影で大変だったエピソードを聞かれ、「スケジュールがタイトだったことはありますが、それは私に限ってのことではなく、スタッフさんたちに大変苦労を強いました。各部署が支え合って撮影していたのがかけがえのない体験でした。楽しかった気持ちのほうが強かったです。」と話すと共に、撮影中というよりは初日を迎えるまでが大変だったそうで、「信太と恵美の出会うライブハウスで演奏するシーンが撮影初日で、それまでずっと一人で練習してきたので、“人前で弾いたことがない”と思ったんです。私がよく通っている音楽喫茶がありまして、店主さんに相談して聴いていただき、感想をいただいたりしました。また、ギターを持ってお店に通っていたので、弾いてほしいと言ってくださる方がいて、お客さんの前で弾いたことも。いっぱいリクエストをいただいて、弾いた後にご馳走になったこともありました(笑)。すごく嬉しかったです。」と笑顔で話した。
また、同作を観た感想は?という質問には、「撮影中は自分の役の気持ちのことでいっぱいになっていたので、完成した作品を観て、信太の気持ちに心が動いてジーンときました。見るたびに味わいの変わる作品だと思います。」と話した。
そして最後に、「この作品は、自分の人生と地続きに存在しています。この作品があったから今も俳優を続けていられていると実感しています。たくさんの方に観ていただきたい思いでいっぱいなのですが、まずは今日この大変な中、この作品を観たいと思ってくださったことに深く感謝しています。どんな感想でもありがたいですので、お力添えいただけたら嬉しいです。本当にありがとうございました。」と話し、舞台挨拶を締めくくった。