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原因は自分にある。初ワンマンライブ『げんじぶ空間:case.1』開催!
2019年の夏に始動し、1stシングル「原因は自分にある。」でCDデビューするや、ピアノロックを軸とした音楽性と前衛的な世界観で、若者の人気を急速に獲得した彼ら。初ワンマンへの期待が高まる中でコロナ禍に突入しながらも、これまで4度の配信ライブを行い、独自の哲学的歌詞をフィーチャーした映像や、カメラワークと連動した自由度の高いパフォーマンスなど、配信ならではの魅せ方でファンのハートをガッチリ鷲掴んできた。そんな彼らに直で会える待望の初ワンマンだけあって、2部制にもかかわらずチケットは即日ソールドアウト。激戦を勝ち抜いたオーディエンスは、それぞれ推しカラーのペンライトを握りしめて、緊張感を漂わせながら開演の時を待つ。
モールス信号のようなパルス音が鳴ると、サイバーな光景が赤く投射される物々しいムードのなか、目元を覆う白い仮面をつけた7人が紗幕の向こうに登場。マイクの代わりにトランシーバー越しで届ける「嘘から始まる自称系」のザラついて歪んだ響きは、微かに照らされるファントム風のビジュアルと相まって、まるで画面の向こうか次元の違う世界の出来事のように錯覚させる。だが、スポットライトに照らされた武藤潤の生々しくクリアな歌声が突然耳を貫き、ラスサビからは全員マイクに持ち替えて、紗幕が落ちると共にアルバムリード曲「柘榴」へ。まさしくバーチャルからリアルへと飛び出すかのようなニクい仕掛けに、客席フロアからは悲鳴をこらえた呻きが漏れる。
さらに、現在の世界情勢を皮肉めいて歌う「柘榴」の途中で仮面を外し、素顔を露わにするやセルフタイトル曲「原因は自分にある。」を叩きつけ、己のアイデンティティを高らかに謳い上げる7人の凛とした頼もしさときたら! 曲中、年長3人と年少4人に分かれての新たなダンスパートでも進化を見せつけ、印象的な“2択”のリフレインを7人が順に踊る「嗜好に関する世論調査」を挟み、ブロックの最後には完全未発表の新曲「犬と猫とミルクにシュガー」も披露。最年少の15歳・桜木雅哉を皮切りにソロラップを歌い繋ぎ、掛け合いながら、そこにダンスもシンクロさせるアグレッシブなナンバーは、これまた新たなジャンルへの挑戦が窺えるものだ。数度の配信ライブを経てファンの前に姿を見せる初ワンマンという自らのストーリーを、巧みに演出に取り込んで昇華したパフォーマンスの見事さ、そして、それを一瞬の休みなく畳みかけるエネルギッシュな展開には、ただただ圧倒されるほかない。
げんじぶの、げんじぶたる所以を序盤でしっかり提示したあとは、楽曲それぞれのドラマに浸るパートへ。
YOASOBIのコンポーザー・Ayaseが提供したダンスチューン「スノウダンス」では、アルバム発売記念のクリエイターコンテストで最優秀賞に選ばれたイラストがLEDモニターに映し出され、時の流れを惜しむ緩急の利いたダンスと共に、切ない恋愛模様を幻想的に描き出す。2年ぶりの登場に客席も息を呑んだ「時速3km」を温かく、センチメンタルに贈ったところで、ライブ初披露となったのは「夢に唄えば」。ショーテイストの色濃いハッピーなナンバーを、長野凌大が流麗な身のこなしでエスコートし、小泉光咲が歌う後ろで3組のペアが背中合わせになるや、場内から思わず「可愛い!」の囁きがあがる。しかし、舞台上に武藤、大倉空人、吉澤要人の3人が残ってジャケットを脱ぎ、「In the Nude」のラップをデンジャラスに放つと、ファンタジックな空気感からのギャップで夜の妖しさがひときわ濃厚なものに。真っ赤な照明の中、7人が纏うメンバーカラーのシャツ姿も何とも色っぽい。そこで間髪入れず投下された待望の「ネバーエンドロール」では、出会いと別れの渦中にある青春の甘酸っぱさを、ポップなサウンドと笑顔あふれる等身大のパフォーマンスで体現。歌詞のストーリーを動きで再現したり、互いにじゃれ合ったりと、愛らしいアクションでオーディエンスを色めきたたせ、最後は7人がギュッと固まった後ろ姿でフィニッシュを飾る。初披露ながらも十二分な手応えに、杢代和人も「楽しいね!」と破顔したが、大人の男性と十代の少年を行き来する彼らの表情の多彩さには、まったく翻弄されるばかりだ。
配信ライブ『仮想げんじぶ空間』とリアルな『げんじぶ空間』の違いを問われ、それぞれ「楽しすぎる!」「ペンライトが綺麗!」と喜びを全開にした終盤では、一筋縄ではいかないラブソングを三連発。ロマンティックな曲調で恋の甘さを、躍動的なダンスアクトで燃える恋情を表した「シェイクスピアに学ぶ恋愛定理」から、挑発的なラップとキュートな振りが共存する「ギミギミラブ」に至ると、「今はまだ声は出せないけど一緒に踊っていきましょう!」という武藤の煽りに応えて、フロアはペンライトを高く掲げる。さらに疾走感が切なさを煽り立てる「幽かな夜の夢」では、センターで歌い上げる小泉に続き、上手の武藤が高音で、下手の吉澤が低音でハモるサビのフォーメーションも美しい。何より、左右いっぱいに7人が広がった横長の画角を一目で収められるのは、観客が直にステージを目視できる生ライブならでは。裏を返すと、画面に切り取られているわけでもなく、無数の目に全身を見つめられているのだから、演者の側は一瞬たりとも気を抜くことはできない。にもかかわらず、配信ライブと同じテンポとクオリティで休みなく楽曲を畳みかけるという難易度の高い業を、7人は実に楽しそうに、伸び伸びとやってのけた。それは若さゆえのスタミナと、1年以上ぶりにファンの前に出られる喜び、そして原因は自分にある。という活動への情熱が、それぞれの胸に灯っているからに違いない。
そんな彼らの“げんじぶ愛”が爆発したのがアンコール。久々の「ジュトゥブ」では桜木が最年長の武藤に抱きついたり、大倉が「おいで!」と長野をリフトしたり、吉澤が杢代をお姫様抱っこしたりと、微笑ましいスキンシップがオーディエンスのハートを照明と同じ桜色に染める。MCではコロナ禍でファンとしばらく会えなかった期間について触れ、武藤は「その間も7人で支え合って、このチームならまだまだ前に進めると思いました。今まで以上に素晴らしい景色を届けることが、僕たちから皆さんへの感謝の証だと思って頑張ります!」と宣言。杢代は「ぶつかり合って、目標が決まらなくて、なかなか意見が合わないときもありました。今、このステージに7人が立ててるのは本当に奇跡だと思います。運命の巡り合わせでこうして7人で活動してるんだから、1人でも欠けたら原因は自分にある。ではなくなってしまう。だから、これからも、この7人を応援してくれたら嬉しいです」と涙ぐんだ。
最後は「また会おうね!」と全員で呼びかけ、再び「ネバーエンドロール」をドロップ。セルカ棒を取り出し、ステージの模様を代わる代わるインカメラで自撮りして、時に杢代を慰めながらハシャギ合う彼らからは、苦難の時を共にしたからこその互いへの信頼が窺えた。大倉は「みんな大好き!」と、客席に向かっても告白。曲の最後には、本編とは逆に前を向いてハグし合い、記念すべき初ワンマンを笑顔と涙のうちに締めくくった。
ソーシャルディスタンスを保つために収容人数を抑えたことも手伝って、プレミア公演と化した初ワンマン。涙を呑んだファンの要望に応え、この日の公演は4月16日に収録配信されることも決定した。その告知がされた第二部のMCでは、小泉も「チャットコメントに僕たちも参加します」と約束してくれたので、惜しくも会場に足を運べなかったファンは是非ともチェックしてほしい。
「これからも原因は自分にある。は7人で、そしてファンのあなたと上まで上がっていきたいと思います」と最後に長野が告げた決意は、結成時から一貫して変わらないもの。その信念がある限り、彼らの歩みは止まることはない。
【セットリスト】
M1 嘘から始まる自称系
M2 柘榴
M3 原因は自分にある。
M4 嗜好に関する世論調査
M5 犬と猫とミルクにシュガー
M6 スノウダンス
M7 時速3km
M8 夢に唄えば
M9 In The Nude
M10 ネバーエンドロール
M11 シェイクスピアに学ぶ恋愛定理
M12 ギミギミラブ
M13 幽かな夜の夢
EN1 ジュトゥブ
EN2 ネバーエンドロール
〈収録配信ライブ〉
原因は自分にある。「ワンマンライブ げんじぶ空間:case.1」
2021年4月16日(金) 20:00 O.A.
チケット購入は4月23日(金)20:00まで。
ライブ配信終了後、チケットをお持ちの方は【4月23日(金)23:59】まで
アーカイブ配信をご利用いただけます。