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北村匠海 映画「さくら」完成記念トークイベント!
同作は、累計60万部を突破する直木賞作家・西加奈子氏の同名小説の映画化で、さくらと名付けられた1匹の犬と、5人の家族、そして彼らにとって大切な人たちの物語。
長男の死にきっかけにバラバラになってしまった家族が悲しみを乗り越え、家族の愛と絆を再び取り戻し、生きていく姿が描かれる。
音信不通だった父が2年ぶりに家に帰ってくる。スーパーのチラシの裏紙に「年末、家に帰ります」と綴られた手紙を受け取った長谷川家の次男・薫は、その年の暮れに実家へと向かった。母のつぼみ、父の昭夫、妹の美貴、愛犬のサクラとひさびさに再会する。けれど兄の一(ハジメ)の姿はない……。薫にとって幼い頃からヒーローのような憧れの存在だったハジメは、2年前のあの日、亡くなった。そしてハジメの死をきっかけに家族はバラバラになり、その灯火はいまにも消えそうだ。その灯火を繋ぎ止めるかのように、薫は幼い頃の記憶を回想する。それは、妹の誕生、サクラとの出会い、引っ越し、初めての恋と失恋……長谷川家の5人とサクラが過ごしたかけがえのない日々、喜怒哀楽の詰まった忘れたくない日々だ。やがて、壊れかけた家族をもう一度つなぐ奇跡のような出来事が、大晦日に訪れようとしていた─。
北村は同作の主人公で長谷川家の次男、長谷川薫を演じる。
北村は、「「さくら」は家族の物語です。ソーシャルディスタンスを保つようになり、僕もこの期間、家族を想うことが多かったので、この作品を世に出せることがとても嬉しく思います。」とコメント。
監督の“この家族を見守ってもらうために、ユーモアを意識的に散りばめた”というコメント受け北村は、「家族の団らんシーンはアドリブが多かったです。物語の序盤はとてもありふれた日常が幸せである、ということをかみしめながらお芝居をしていました。家族に何度も立ちはだかる壁が出てくるので、そこに至るまでは、笑いだったり会話の中で生まれる幸福感を大事にして演じました。」と振り返った。
長谷川家の3兄弟に北村、小松、そして吉沢亮さん。そして両親役として寺島しのぶさん、永瀬正敏さんが出演。北村は、「小松さんも吉沢君も第一線でこの世代を引っ張っている方たちと兄弟になれて、永瀬さん、寺島さん…本当に豪華なメンバーだったので、家族という一番近い繋がりを役の中でもてるというのがわくわくでもあり、どんな芝居が巻き起こるのかという期待感がキャストの皆さんの名前を聞いた時に思いました。」と話した。
また、吉沢さん、小松との共演について、「兄弟3人は意外にくだらないことが大好きで(笑)。役から抜けて吉沢くん、小松さん、僕の3人になると、特に小松さんがダジャレを言って笑っていました。去り際に“おつカレーライス”とか(笑)。それがメチャクチャ面白くて、そういう小さなことで笑える3人だったので、役との境界線を芝居ではないところの会話で作り上げることができました。しかも自然な流れで、無理して話そうと思うこともなく、居心地の良い空気の中で作っていけた気がします。」と笑顔で振り返った。
さらに、吉沢さんとのエピソードとして、「どうでもいいことを、いい声で言う選手権をやっていました(笑)。例えば、“靴紐がほどけたら結べばいいさ”とか。」と渋い声で披露すると、若干の笑いが。すると、「今はこんな感じですが、メチャクチャ面白かったんです。不思議なコミュニケーションでしたが、楽しかったです。」と話した。
北村演じる薫は、同作のストーリーテラーの役割を担いながら、さまざまな愛と情を観察して自らも経験していく役どころ。北村は、「ハジメという絶対的ナンバーワンな兄がいて、その背中を見て育ち、天真爛漫で自由な生き方、考え方をしている美貴にちょっとした嫉妬だったり、自分が無個性だというコンプレックスがあって、実は負の力で生きている。だけど普通に笑うし、会話もする。その普通さが彼にとってはすごく邪魔な価値観になっていくのところを演じる上で意識をしていました。」と話すと共に、「玄関で突拍子もないことをするシーンは、薫が殻を破りたかったけど、自分の中で腑に落ちずに悶々としている。ナレーションを読むにあたって、それを俯瞰で見なくてはいけなくて。全ての撮影が終わった日に仮で録ったのですが、いろいろな思い出があって音声さんも僕も涙ぐんでいました。でもそれだとナレーションによってシーンに色が付いてしまうので、どこか無色なイメージをもちながら、極力フラットに見ることがテーマでした。」と語った。
イベントでは、長谷川家がお正月に餃子を食べる決まりがあることから、我が家のルールを発表する一幕も。北村は『自由。』とフリップに書き記し、「たくさん考えたのですが、ルールとかしきたりが特になかったです。思い返すと、とても自由に育ててくれたし、だから今、家族で話していると面白いことに感性の話になって、いろいろなことに触れさせてくれたなと思います。でも、ちょっとルールとかほしかったなとも思います。両親は自分が今やっていることを応援してくれていますし、違う道を選んだとしても“好きにすれば”って言ってくれるのが北村家なので、自由っていうのが当てはまる言葉かなと思いました。」と答えた。
イベントの終盤では、長谷川家の愛犬・サクラを演じたちえちゃんが登場。北村は、「「サクラ」の現場でちえちゃんが起こす奇跡に何度救われたことか。映画で動物と一緒に撮影したことがなくてどんな感じなんだろうと思っていたのですが、本当に驚かされました。僕たちがやることや感情を理解しているんじゃないかなって思いましたし、“こうすればいいんでしょ、“寄り添えばいいんでしょ”って。大御所感がすごかったです(笑)。」と笑いも交えながら絶賛した。
MCより現場で一番懐いていた人は?と聞かれ、「僕と小松さんは一番下です。芋をくれる人たち(笑)。懐いていたのは永瀬さんと吉沢くん。ふたりにはべったりでした。」と答えた。
そして最後に、「この映画は、ひとつの家族が当たり前の日々を幸せに感じながら生きていて、あることがきっかけでその愛が崩れてしまい、サクラという一匹の犬に救われながら再生していく物語。いろいろな感情にさせてくれる映画だと思います。愛とか優しいものだけではなくて、刺々しかったり憎しみとか怒りといった、プラスの感情もマイナスの感情もひっくるめてこの家族を愛おしく思っていただけたら嬉しいです。映画というエンターテイメントを発信し続けることができることを幸福に思います。今一度、自分の家族について考えさせられる映画になっていると思いますのでぜひ劇場でご覧ください。」とメッセージを送った。
映画「さくら」は11/13(金)公開。
ぜひご期待ください!