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青木崇高 映画「雨にゆれる女」公開記念トークイベント!
同作は、パリを拠点に、映画音楽からエレクトロミュージックまで幅広く世界で活躍し、ホウ・シャオシェン監督やジャ・ジャンクー監督など、世界の名匠を魅了してきた音楽家・半野喜弘の監督デビュー作品。濃厚な色彩、優美な旋律、登場人物の息づかい…。現代の日本映画には稀な質感の映像で紡ぐサスペンスフルな愛の物語が完成した。
同作の公開を記念して行われたトークショーにサプライズゲストとして登壇した青木は、監督との出会いについて、「14年ほど前、役者としてのキャリアも始まってない時にバックパッカーをやっていたのですが、パリに寄った時にお酒を飲んでいて、日本人のグループを見つけ話しかけたグループの中の1人が半野さんでした。」とコメント。
半野監督と青木が数年ぶりに知人を介して再会し、“一緒に何かやろう”という約束をしていた事から、制作の話が持ち上がったという同作。これに対し、半野監督は、“作りたかったし機会があった為、青木を起用する事を条件にプロデューサーに話した”との話を受け青木は、「学生のノリのような、よくある会話じゃないですか。それが、本当に実現するというのは、行動力がすごいなと思います。」と話した。
脚本は半野監督によって、青木が演じる主人公・飯田健次というキャラクターが最初にイメージされ、そのキャラクターがどう動いていくのかを想像しながら制作された。脚本の印象について青木は、「本当に半野さんが書いたのかなと思いました。僕はこういう見た目をしているので(笑)、荒くれ者のギラギラしたような物を書かれるのかなと思ったのですが、イメージにはない所を描きたいという事で、凄く繊細な本でした。」と語った。
また、キャラクターについて、「心の変化が重要な役だったので、なるべく会って細かく話しました。ここまで話すのは、他の映画監督でもあまりなかったかもしれません。」と振り返った。
さらに、半野監督から“撮影期間中にも、次の日の脚本を広げて緻密に打ち合わせをしていた”と明かされ、「監督が健次というキャラクターを愛しておられたので、それを演じるにあたり、僕自身も愛情を持っていましたし、そこに意識のブレがあることが一番怖いなと思っていました。その確認に時間を頂いていました。」と答えた。
撮影についてさまざまなエピソードが披露される中、印象的だった演出について、「最初の方で健次が女性と出会うシーンがあるのですが、拒絶する喋り方として語尾を切ってくれと言われた演出がありました。」という話題を挙げると、半野監督から“言葉の語尾の息は、相手にコミュニケーションを求めている作業になってしまうので、人との関係を持ちたくない情感を出す為に、息を残してはいけなかった。そして、相手を疑っている人間は1度考えてから話す為、普段話すタイミングからあえてズラして話してくれるようお願いした。”と説明がされ、演じてみた感想を聞かれた青木は、「今までになかったですし、面白かったです。音だけに集中するだけではなく、気持ちを合わせながら意識することが重要でした。」と回答した。
イベント終盤には、同作のトレーラーとは異なる“音楽が映像に対してどれだけ大きな作用を及ぼすか”を実験する映像が上映された。半野監督から、同作に取り入れられている音楽の手法を解説され青木は、「3回観た時に“あれ?”って気付く事が多くて、それが観ている側の心理に作用するかを計算して作られていたんだと思いました。」と述べた。
最後に、「今日はありがとうございます。上映後にこのトークだったらなおさら良かったと思うのですが。監督が話された事をちょっと頭の中に残しつつ、ご覧になって頂ければ、さらに深く世界観にひたれると思います。ぜひ劇場でもご覧になって下さい。どうぞよろしくお願いします。」とメッセージを送った。
映画「雨にゆれる女」は11/19(土)テアトル新宿にてレイトロードショー。
ぜひご期待ください。
【物語】
主人公は、本名を隠し、〝飯田健次〞という別人としてひっそりと暮らす男。人との関わりを拒む彼の過去を知る者は、誰もいない。
ある夜、突然同僚が家にやってきて、無理やり健次に女を預ける。謎の女の登場で、健次の生活が狂いはじめる。
なぜ、女は健次の前に現れたのか。そして、なぜ、健次は別人を演じているのか。お互いに本当の姿を明かさないまま、次第に惹かれ合っていくふたり。しかし、隠された過去が明らかになるとき、哀しい運命の皮肉がふたりを待ち受けていた――。