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萩原みのり 「TOHOシネマズピックアップシネマ」上映記念舞台挨拶!
「TOHOシネマズピックアップ・シネマ」は、TOHOシネマズが、いま、気になる映画人や映画、もっと注目されるべき作品を邦画、洋画問わずピックアップして特別上映を行うプロジェクト。昨年12月に実施された第1回は、阪元裕吾監督の作品を上映し、当日は満席になるなど好評を博し、今年2月にはいしづかあつこ監督の作品を上映、先日3月10日に行われた第3弾では坂田敦哉監督の作品を特集上映するなど、回を重ねるごとに映画ファンの注目を集める企画となっている。
第4弾となる今回は、プロジェクト初の俳優特集となり、萩原がピックアップされた。自身初の単独主演作を務めた「お嬢ちゃん」(2019年)と、2度目の主演作「成れの果て」(2021年)の2本を上映。映画ライターのSYOさんをMCに迎え、舞台挨拶では、上映作品「お嬢ちゃん」、「成れの果て」に関するトークに加え、4月に公開を控える「N号棟」に関するトークが行われた。
「お嬢ちゃん」上映後に行われた舞台挨拶にて萩原は、「こんなにとてつもない場所に呼んでいただいて恐れ多いというか、胃が痛くてしょうがないのです(笑)。『お嬢ちゃん』を公開したときに、映画でみのりを観た後に(舞台挨拶で)笑っている私が出てくるとどうなのかな?と思って、あまり笑わないようにしていたのですが、今日は気にせずに普通の状態でいたいなと思っています。短い時間ですが、よろしくお願いします。」と挨拶。
「TOHOシネマズピックアップ・シネマ」での俳優特集は第一弾となるが、「最初に聞いたときから何が起きているのか分かっていなくて、本当に私で大丈夫ですか?という思いでした(笑)。この2作をTOHOシネマズで上映していただくというのは、私の中ですごく特別なことですし、夢なのかな?と思ったまま、いまここに出てきて、本当だったなとようやく実感しています。」と明かした。
「お嬢ちゃん」では、撮影を終えた後に母親とロケ地を巡ったといい、「“ここで撮影したんだよ”と母にロケ地を見せる旅行をしました。ラストシーンの場所にもいきましたし、ラーメンも食べに行きました。」と回想した。
撮影に挑むにあたり、どんな準備をしたか?という質問には、「とにかく出演者の皆さんと全部のシーンをリハーサルさせていただいて、なかなか映画で全てのシーンをリハーサルする機会はないのですが、本当に全部やらせていただいたので皆さんの雰囲気を事前に知ってから撮影に挑むことが出来ました。初めてロケハンにも連れて行っていただいて鎌倉を巡りました。鎌倉は良い場所なので、“わあ鎌倉だ!海きれいだな”という感覚が絶対に出てしまうと思ったので、そういうのを無くすために、ここで本当に生きている人のように鎌倉を自分に馴染ませるために、ロケハンに連れて行ってもらいました。」と振り返った。
また、「撮影中はスタッフさんたちと同じ宿に泊まっていたんです。距離感が近かったからこそ、家族みたいな安心感ができたので、役のスイッチを入れるというよりは、スッとその世界観に入らせてもらいました。セリフを喋っている感覚はずっとなかったです。長回しですし、セリフもいっぱいあって大変だったはずなのに、鎌倉に行ってから台本を開いた覚えがなくて、セリフ通りではあったのですが、アドリブで喋ってるんだっけ?くらいの心地よさみたいなものがありました。」と語った。
撮影では二ノ宮隆太郎監督に“とにかく強く居てくれ”ということを言われていたといい、「私自身がすぐにびびって下がってしまうので、自分との差が激しくて、ちゃんと目を見て逸らさずにきちんと立ち向かってほしいと言われていたので、そこだけすごく意識していました。相手を目で潰すくらいの思いでずっと見ていました(笑)。」と明かした。
続いて、話題は「成れの果て」に移り、役作りについて、「⼩夜の場合は弱くていいというか、その弱さをどうにか隠して相手と話す、強いフリをして強い自分を繕うので、こちらのほうが自分に近い感じはありました。とにかく私が一番この作品を大事にしたいと思っていましたし、⼩夜を“こういう子”みたいな枠に嵌めたくないという思いがありました。また、この作品を宣伝するときに絶対にエンタメにしてはいけないという思いもあったので、決して面白いことを描いた作品ではないから面白いとは言わないというか、でもこの作品は私もすごく好きですし、観てほしいと思っていたので、それがこの作品のプロモーションでは難しかったです。」と語った。
さらに、「小夜が抱えている、許さないという思いとか、みんなは勝手に過去のことにしているけど、小夜にとってはずっと今のことで、これからのことで。それをどう溜めて、絶対に許さないで居続けるかということを、ずっと準備の段階で台本の余白に“キライ”とか“イヤ”とかたくさん書いていました。」と話し、「先に進んでいるのはあなた達だけです、というのはずっと思っていて、でも先に進まなくていいと言ってほしいですし、許してないって怖いとか根に持っているという言葉に繋がりがちですが、許さないということはすごく大事なことだと思うので、私はこの作品で許さなくていいということをお守りのように届いたからいいなと思っていました。」と続けた。
改めて、「お嬢ちゃん」と「成れの果て」の撮影で印象的なところは?と問われ、「お嬢ちゃん」については、「リハーサルをいっぱいしたけれど、やはり現場に行って生まれるものもたくさんありました。あとは監督の二宮さんをただただ信じる、ということを大事にしていました。撮影で“なんで?”と思うような間もあったのですが、そこは二宮さんのセンスを信じて、そうするとだいたいレビューなどで“あそこの間が良かった”と書かれているので、すごいなと思いました。信じてよかったなと思うことがたくさんありました。」とコメント。
「成れの果て」については、コミュニケーションを断絶するような役柄だが、それは監督と作り上げたものか?という質問を受け、「家で準備の段階から蓄積していった怒りが、現場で相手の顔を見ていたら爆発した結果というか、本当にただ怒っていたんです(笑)。感情を爆発させるようなリハーサルはなかったのですが、私の中で一番感情が爆発したシーンがあって、それが今から観る方に伝わったらいいなと思うのですが、そこは台本にはなかったんです。台本のセリフも全部終わって、でもカットがかからなくて、そのまま芝居を続けた結果、私がバーンと爆発できた瞬間があって。『お嬢ちゃん』でいうラストシーンもそうだったんですけど、私の中で一番好きなシーンをカメラに収めてもらえたことがすごく嬉しくて、この瞬間をスクリーンに残してもらえるのが嬉しいなと。『お嬢ちゃん』のラストシーンはスクリーンで観たときに、すごい画を撮っていただいたなと思って、私は自分の顔がずっと怖がられたりしてきてコンプレックスなところもあったのですが、映画になるとそれが良い感じになっていて、顔が怖いことを良いものとして使ってくださっていて、とても嬉しかったです。ちょっと怖い顔で良かったなと思いました(笑)。」と語った。
その後、普段芝居をする上で、表情は重要な要素か?と聞かれ、「表情は、自分がそう心の中で本気で思っていればすごく表現しようと思わなくても、お客さんには絶対に伝わると思っています。昔ワークショップで先生から“真顔のまま目だけで喜怒哀楽を表現してくれ、でも順番は任せる”と言われて、それをやったら全部わかってくれたんです。人の感情ってすごく笑っていたとしても本当は悲しいとか、ここだけの違いでも伝わるんだなということが嬉しかったですし、衝撃も受けて、そこからスクリーンを信じる、カメラを信じる、お客さんを信じる、ということを自分の中で大事にしています。」と明かした。
続いて、4/29(金)全国ロードショーとなる「N号棟」の話題があがり、「実話をベースに監督が脚本を書いた作品です。タナトフォビアという死恐怖症を抱えた女の子の役で、撮影が始まる前にずっと死ぬことについて考えていたり、死恐怖症のことを調べすぎて本当に怖くなってしまって、それが映像に出ていると思います(笑)。」と話した。
3作品で自身の中で共通することは?という質問には、「いつも悲しい目をしていますよね(笑)。もっと強い役どころだったはずなのに、自分が演じたのを観て、余計にそう感じることが多いです。『N号棟』も一見活発な女の子なんですが、目立ちたがりで人気者になりたい女の子で、友達なんだけど友達みたいじゃないというか、自分の居場所が見つかっていないような子で、そういう部分が共通しているかもしれないです。」と語った。
そして最後に、「こういう場を作って良かったと皆さんに思っていただけるように、なんで萩原みのりにしたんだろうな?と思われないように(笑)、これからも役者生活を今まで以上に頑張りたいなと思っています。「成れの果て」もまだ少し劇場で公開されていますが、「成れの果て」も「お嬢ちゃん」も一度映画館での公開が終わった作品をまだ劇場で上映してもらうことはすごく幸せなことで、特に「お嬢ちゃん」は“あのときもっと観てほしかったな”という思いがあったので、今日こういう場を作っていただけてすごく嬉しかったです。「お嬢ちゃん」でちょっと疲れたと思いますが、一回元気になっていただいて(笑)、この後「成れの果て」を観ていただいて、今後の作品も気になったら追いかけていただけると嬉しいです。今日は本当にありがとうございました。」とメッセージを送った。
映画「N号棟」は、4/29(金)全国ロードショー!
是非ご期待ください。