EVENT
片桐はいり 「片桐はいりの出張もぎりショウVol.2」開催!
同イベントは、開業15周年を迎えたイクスピアリがその感謝を込めて、シネマイクスピアリに縁のある片桐の誕生日(1/18)を祝うスペシャルイベント。
この日行われたトークライブ「片桐はいりの出張もぎりショウVol.2」では、映画館でチケットもぎりのアルバイトを経験した片桐が、劇場の制服に身を包み、熟練されたもぎりで来場者をお出迎え。その後、MCからの呼び込みで、片桐がステージに登場すると大きな拍手が起こった。
トークライブがスタートするやいなや、「お誕生日映画祭ってあるんですか?」と疑問を投げかけた片桐。この日の付き添い人であるキネマ旬報編集部・川村夕祈子さんが、「お亡くなりになって、追悼上映というのはありますが。生きていらっしゃる場合ですと、お誕生日ということではないですが、近々でお名前で映画祭のタイトルになったのは若尾文子さんだと思います。」と答えると、片桐は、「すごいことですね。先ほどもぎっていたら、“おめでとうございます”と皆さんに声をかけていただいて、心を緩めたら泣きそうなので我慢しましたけど、本当にありがとうございます。この感謝の気持ちをどうしたらよいか分からないので…皆さんのお誕生日もここでまとめてお祝いさせていただきます(笑)。おめでとうございます。」と思いを伝えた。
その後、サプライズでイクスピアリのパティスリーシェフが作った片桐の似顔絵プレート入りバースデーケーキをプレゼント。BGMに合わせて運びこまれると、客席から拍手と“おめでとう”という声があがり、片桐は笑顔で歓声に応えていた。
イベントはトークライブのほか、1/9(土)より3週に渡って出演映画が順次上映されており、1本目は昨年1月より公開された映画『繕い裁つ人』(上映は終了)。全編にわたり神戸でロケが行われ、片桐は主人公・南市江(中谷美紀さん)の友人・牧葵を演じている。「中谷美紀さんを撮影現場で見ていて、主演とはこういうものなんだと思いました。全てに目を光らせて、エキストラのケアもしっかりとされている。中谷さんの端正さがきちんと映画に出ていて、作品って核となる人の作っていない部分や居方が反映されるんだと思ったと同時に、恐ろしくなりました(笑)。」と撮影当時を振り返った。
2本目は、2014年10月より公開された片桐主演映画『小野寺の弟・小野寺の姉』。“一見似ていなさそうだけど、なんだか似ている”小野寺進(弟/33歳・向井理さん)と小野寺より子(姉/40歳・片桐)の恋と人生の行方を描いた物語で、「2013年の舞台からずっと向井くんとやっていましたので、演じるという感覚ではなかったです。楽屋で話して、その続きのような感じで撮影をして…。そのような作り方が逆に良かったのかもしれません。」と話すと川村さんが、「劇中ではいりさん演じる小野寺より子さんも誕生日がありましたよね」とコメント。片桐は、「お誕生日にまつわる映画でご存知な作品はありますか?意外となくて“誕生日”“映画”で調べたら今日のイベントのことばかりがヒットして。それはいいとして(笑)、お誕生日に弟が素敵なプレゼントを考えてくれるというお話で、まだご覧になっていない方はぜひご覧ください。」と笑いも交えながらPRした。
3本目は2015年4月公開映画『ジヌよさらば~かむろば村へ~』。銀行員でありながらお金アレルギーになり、お金を一切使わない生活を目指して東北地方の寒村にやってきた主人公と、曲者揃いのかむろば村の村人によるスラップスティック・ファンタジー。かむろば村のスーパーでパートとして働く・いそ子を演じた片桐は、「会津で撮影をしました。監督の松尾スズキさんがアドリブで演出をされるんです。私が買い物から帰ってくるシーンで、“(いそ子は)何を買って来たんですか?”と聞いたら、“網戸”だと(笑)。小道具さんがさすがに網戸は用意していないと言ったら、村の方が協力的で、“ウチの使いなよ!”と言ってみんながお家から網戸を持ってきてくださって、無事に撮影が終わりました。」とエピソードを話した。
そして、映画館にまつわる話へと進み、「家の近所にキネカ大森という映画館があるので、用もないのに行って、もぎりをしたり掃除をしたり、掃除をする必要がなくても行っています(笑)。今数々の映画館がなくなっていってしまっていますが、舞台の小屋も同じ。ワインではないですが、劇場は熟成するまでに時間がいるんです。すごく素敵な劇場を作っても、作品がはまらなかったり、積み重ねがとても大切。それが出来上がっている劇場がなくなっていくというのは映画館含めすごく残念です。」と吐露した。さらに、「キネカばかりではなく他にも行こうと思ってある映画館へ行ったのですが、椅子の劣化が激しくて、どうしたらいいのかなと。古い椅子は味があって好きですが、ボロボロやシミだらけの椅子はつらいなと思いまして、椅子を変えるプロジェクトでもやりますか?!日本にはいろいろなことをやらなくてはいけないと思いますが、私が出来る範囲で、なくなった映画館の椅子を再利用したり、出演者でお金が余っている人に出していただいて(笑)集めるとか。それで映画館が潰れることはないと思いますが、行きたくなくなるじゃないですか。なんとかしたいなと思っています。」と映画館愛を語った。
さらに、今年観た最初の映画は?という質問に、「みなさんは観ました?私はインドのムンバイというところで観ました。メイン繁華街にランドマーク的存在で映画館があって、嬉しくて写真を撮っていたら、“何を撮っているの?”と青年に話かけられ、映画館を撮っていると答えたら、いろいろと教えてくれて、映画の神様が来た!と思いました。また、前にもお話ししたのですが、インドの映画館は始まる前に国歌斉唱をするんです。今回は始まる前に駆け込んだので、入ろうとしたら“コラッ!今、国歌斉唱やっているんだ”と怒られまして、入口で待ちぼうけ。でもそれがすごく感動的で、いろいろな映画館で映画を観ていますが、町の素顔に近いというか日常を見れるような気がして、すごく楽しいです。」と映画館の魅力も交えて話した。
イベント終盤では、片桐が初声優を務めるディズニー/ピクサー アニメ映画『アーロと少年』(3/12公開)の話題もあがり、「恐竜役です。お父さんが松重豊さん、長男が八嶋さん、そして長女が私(笑)。恐竜が隕石にぶつからないで逸れたとしたら、恐竜と人間が共存していた時代があったのではというお話です。録音の方々がすごくて、“はいりさん、恐竜の役なので、声を出す時に恐竜の肺活量を考えてください。そして古代の空気を吸っていることをイメージして、人間の口ではなく恐竜の大きな口が動くので、早口でしゃべらないでください”と言われ、苦労はしましたが、面白かったです。」と話すと、会場から笑いが起こっていた。
この日は、映画『小野寺の弟・小野寺の姉』の監督でもあり、片桐も出演する4/4スタートの連続テレビ小説『とと姉ちゃん』の脚本を担当する西田征史さんからメッセージが寄せられた。“インドばかりに行かず、たまには日本で飲んでください”といった笑いも交えながらのコメントに、「そうなんです。“今渋谷なんですけど”というメールが来て、“ちょっと無理です。インドなんで”と返事をしたこともありました。お忙しいのに本当にありがとうございます。」と感謝の気持ちを語った。
客席からも質問を受け付け、“出演作で一番好きな、もしくは観てほしい自慢の作品は?”という質問に、「(自身の)成分?含有量?(笑)が多いのは『小野寺の弟・小野寺の姉』です。コスチュームとかで言ったら、『キューティーハニー』。ここ最近周りの人から観たよとよく言われたのが『自由な女神たち』。久世光彦監督作品で松坂慶子さんと桃井かおりさんが出演されていて、私は松坂慶子さんの整形前の役。その当時も銀座文化劇場でもぎりをしていて、『自由な女神たち』ももぎっていました。なので、もぎった瞬間に二度見されるという…。それをきっかけにもぎりを辞めることになるのですが、役者さんは映画に出るくらいでは食べれないからアルバイトをしているんだと思われるのが嫌で、そこから映画館を離れて25年―。キネカ大森に返り咲きました。」と答えると、客席も興味津々な様子で聞き入っていた。
そして最後に、「とりとめのないお話しばかりですみませんでした。私は映画館で映画好きな人と話すのが好きです。キネカでも“今から何が観れるんですか”と聞いてくださるお客さんがいるので、“これをご観になるといいですよ”とか“これは観なくていいですよ”とか(笑)、楽しくて。なんでこんな話をし始めたのか分かりませんが、またぜひ映画館や劇場でお会いできたら嬉しいです。こんなに集まっていただいて感動です。53歳も楽しく生きていこうと思います。本日は本当にありがとうございました。」とメッセージを送り、トークライブを締めくくった。
「片桐はいりのお誕生日映画祭inシネマイクスピアリ」は1/29(金)までシネマイクスピアリにて開催。ぜひお楽しみください。
■「片桐はいりのお誕生日映画祭inシネマイクスピアリ」
出演作品特集上映
日程:2016/1/9(土)~1/29(金)
ラインナップ:各日2回上映(11:30~/19:00~)
1/9(土)~15(金)『繕い裁つ人』【上映終了】
1/16(土)~22(金)『小野寺の弟・小野寺の姉』
1/23(土)~29(金)『ジヌよさらば~かむろば村へ~』
料金:おひとり一作品1,000円/大学生~幼児500円(税込)/1/18(月)のみバースデー記念で一律500円(税込)
※料金の各種割引は適用不可、劇場鑑賞券・無料券はご利用いただけません
チケット発売:各作品、上映開始週の水曜日より、劇場自動券売機ほかにて発売
詳細:http://www.ikspiari.com/cinema/special/mogiri2015/index.html