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仲野太賀 特集上映「イ・チャンドン レトロスペクティヴ4K」の公開記念舞台挨拶
本特集では、イ・チャンドン監督の代表作『シークレット・サンシャイン』『バーニング 劇場版』を含む6作品と、イ・チャンドン監督の創作活動の原点に迫るドキュメンタリー「イ・チャンドン アイロニーの芸術」が上映される。
以前からイ・チャンドン監督のファンを公言している仲野は、この日特別ゲストとして登壇し、監督に花束を手渡すと、「皆さん、こんにちは。俳優の仲野太賀です。このたびは特別な大役を任せていただき、非常に誇らしく、そして大変緊張しております。イ・チャンドン監督、はるばる日本に来てくださって本当にありがとうございます。今日は皆さん、イ・チャンドン監督をしっかり目に焼き付けて楽しんでください。今日はよろしくお願いします。」とあいさつ。続けて、司会からイ・チャンドン監督の作品について聞かれると、「初めてイ・チャンドン監督の作品に触れたのは、『オアシス』という映画でした。まだ観ていない方もいらっしゃるかと思いますが、この作品は必ず観てください。本当に素晴らしく、美しいラブストーリーです。それからずっとイ・チャンドン監督の作品の虜です。」と回答。また、舞台挨拶後に上映を予定している『シークレット・サンシャイン』の印象について聞かれると、「究極の人間ドラマだと思いました。人間のあらゆる側面をまざまざと見せつけられる作品だと思っていて、絶望の淵に立たされている母親の姿だったり、藁をもつかむ気持ちで神様を受け入れる姿だったり、そしてその先にある究極の決断だったり。人間ってすごく聖なるものと俗物的なものを行ったり来たりするなと思って、信じたり、疑ったりする人間の複雑さに心を揺さぶられます。」と熱弁するも、途中「しゃべりすぎですかね」と我に返ると、観客からは大きな笑い声が起こっていた。
イベントの終盤には、仲野からイ・チャンドン監督に質問する場面もあり、「イ・チャンドン監督の作品のようなヒューマンドラマに参加したいと思うのですが、監督が映画を撮るうえで大切にしていることは何ですか?」と質問すると、監督からは「本物の人生を描きたい。作られたものではなく、ありのままの人間の姿を見せることだと言えます。皆さんが映画を観たときに、劇中の登場人物の感情が本物だと思ったら、自分の人生と重ねて、そして自分の人生と結び付けて何かを残してくれると思います。そういう映画を作ることによって観客の皆さんと出会ってコミュニケーションを取りたいです」との回答が。それを受け仲野は「とても素敵な言葉をいただけて...大事にしたいと思います。日本の映画人もイ・チャンドン監督の作品に多大な影響を受けています。ぜひ皆さんにも素晴らしい作品を劇場で堪能していただけたら」と呼びかけていた。
「イ・チャンドン レトロスペクティヴ4K」は8月25日より東京・ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国で順次開催される。