「原作モノの場合はビジュアルを近づけることで、おのずとテンションも上がるんです。オリジナル脚本で特に指定がなかった場合は、割と自分からアイデアを出したりもします」
「僕の方から仕掛けていかないと赤楚くんも反応できないので、心の中では『申し訳ないな』と思いながらも、好き勝手やらせてもらいました(笑)。ヨビは仲間を率いていじめる立場だったので、赤楚くんとは距離を置いていて、現場でもほとんどしゃべらなかったです。割と長回しのシーンが多かったのですが、セリフ回しもかなり独特で、ところどころ上手く言えずにセリフを噛んでしまうところがありました。ヨビは怒りの矛先が内側に向かっているから、相手に向けてしゃべっているようでしゃべっていない。しかもしゃべっている内容と表情がちぐはぐだから、自分で演じながらもだんだんと混乱してくるんですよね。振り切ったキャラクターは過去にも演じてきましたが、今回のヨビのように“口数の多いサイコパス”の役柄はさすがにあまりやったことがなくて(笑)。僕にとってはすごく大きな挑戦でした」
「両親を殺害した過去を持つ少年Aで、内側にいろんなものを抱え込んだヨビ役を演じる上で、何かしらのヒントになればいいなと思って、実際に起きた事件に関する記事を調べて読んだり、凶悪事件の解説動画なんかも見たりして。ヨビは登場シーンからして強烈だし、一見すると生まれつきのサイコパスに見られがちですが、実は幼少期に育った環境が原因で反社会的な人格障害を持つソシオパスであることが明らかになっていく。そのバックボーンを意識しながら、ヨビの表情を作っていきました」
「観ている人にとっては“モデルの坂口健太郎”というイメージはもうとっくにないと思うし、僕からしても芝居を見ていて『面白いな』と素直に思う役者の一人なんですが、お互い役者として現場で会うのはやっぱり感慨深いものがあります。今回の劇中のヨビとカラの関係性やシチュエーションも相まって、尚更感慨深く感じた部分もあるかもしれません。“メンノン”時代からずっと健太郎は爽やかで、俺は割とダークなイメージのキャラクターを担いながら二人で頑張ってきたところがあるんですが、今回はどこかその集大成みたいな感じもあったんですよね。『やっぱり健太郎はヒーローなんだなぁ』って思いました(笑)」
「いまはコロナ禍でなかなか行けないですが、僕の場合は友だちと会って飲んで、役と自分を切り離すことが多いような気がします。特にヘビーな役柄のときは出来るだけ一人になる時間を作らないようにするのも意外と大事だったりします。というのも、家に帰ってYouTubeをつけると、過去に調べた事件の関連動画が次々自動再生されることがあって。ふとした拍子にその映像が目に入ったりすると、一気に気持ちがズーンと落ちてしまうんですよ(苦笑)。一度落ち込むと割ととことんまで落ちるタイプなので、撮影中はそうならないように気を付けています」
「ヨビじゃないけど、やっぱり人は育ってきた環境に影響される部分がかなり大きいような気がします。僕には姉ちゃんが二人いて、母親がめっちゃ怖くて、親父は超大人しかった。うちは典型的な女系家族で、栁家の中では男に権限が全然なかったから、無意識のうちに自分の感情を抑えていることが多かった。しかも超大好きだった俺のじいちゃんは、『男たるもの涙を見せるな!』という武士みたいな人で。そのじいちゃんの影響もあって、僕も子どもの頃から家で泣くことがほとんどなかったんですよね。でもだからこそ芝居をするときに、激しい感情を思い切り出せるところもあるのかもしれない。フラットな自分に戻れる対処法を知っていて、自分をコントロールする術が分かっているからこそ、役の感情に引っ張られすぎて狂暴になったりすることもなく、ちゃんと我慢していられる気がします(笑)」
「いつまでも新鮮味を感じられる役者でいたいというか、観た人に『この人の芝居って何なんだろう?』と思わせる役者になりたいと思っています。役柄を通じてもっといろんな自分を見せていきたいし、いままで自分が一度も表現したことのない感情や動きもきっとまだまだたくさんある気がするので。僕は、新・旧の音楽やカルチャーと出会うのが好きなので、面白いことにアンテナを張っている人が集まる場所に、積極的に出かけていくようにしています。役者仲間に限らず、いろんな業種の人たちから常に刺激を受けていたいです」
Writing/渡邊玲子
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