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格差社会の闇を描いて話題を集めた漫画『ヒル』『ヒル・ツー』(新潮社バンチコミックス)を原作とする新時代の社会派復讐サスペンスドラマ「WOWOWオリジナルドラマ ヒル」が、3月4日よりWOWOWで放送・配信。かつて両親を殺して世間を騒がせた少年Aであり、現在は他人の部屋に無断で不法滞在する“ヒル”として生きながら、赤楚衛二扮する“四宮勇気”に成りすまし、暇つぶしに仲間のヒルを玩具のようにもてあそぶ“ヨビ”を演じる栁俊太郎に、役作りの舞台裏や撮影エピソード、ヘビーな役柄を演じる上で心がけていることなどについて語ってもらった。

いろんな業種の人たちから刺激を受けて、常にフレッシュな役者でいたいです

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―― 「金髪のヨビをやるために3回ブリーチした」と話す栁。個性的なキャラを演じる機会も多く、三つ編みやスキンヘッドなど、役柄に合わせ大胆なヘアチェンジを繰り返している。

「原作モノの場合はビジュアルを近づけることで、おのずとテンションも上がるんです。オリジナル脚本で特に指定がなかった場合は、割と自分からアイデアを出したりもします」

―― 栁が演じたヨビは、赤楚衛二扮するバイト漬けの日々を送る青年・四宮勇気(シノミヤユウキ)の部屋に、無断で不法滞在する“ヒル”のひとり。ある日、バイトを終えたユウキが部屋に帰ると、そこにはナイフで腹を刺された状態のヨビが……。搬送先の病院でヨビは刑事に「自分は四宮勇気だ」と名乗ったうえで、本物のユウキ(赤楚)を指差し「この人が自分を刺した!」と供述。仲間を率いて容赦のない暴力と言葉によりユウキを追い込んでいく役柄だ。

「僕の方から仕掛けていかないと赤楚くんも反応できないので、心の中では『申し訳ないな』と思いながらも、好き勝手やらせてもらいました(笑)。ヨビは仲間を率いていじめる立場だったので、赤楚くんとは距離を置いていて、現場でもほとんどしゃべらなかったです。割と長回しのシーンが多かったのですが、セリフ回しもかなり独特で、ところどころ上手く言えずにセリフを噛んでしまうところがありました。ヨビは怒りの矛先が内側に向かっているから、相手に向けてしゃべっているようでしゃべっていない。しかもしゃべっている内容と表情がちぐはぐだから、自分で演じながらもだんだんと混乱してくるんですよね。振り切ったキャラクターは過去にも演じてきましたが、今回のヨビのように“口数の多いサイコパス”の役柄はさすがにあまりやったことがなくて(笑)。僕にとってはすごく大きな挑戦でした」

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―― 笑いながら平気で人を殺していたぶるような冷酷非道なキャラクターを演じるにあたり、どのようなアプローチを試みたのだろうか。

「両親を殺害した過去を持つ少年Aで、内側にいろんなものを抱え込んだヨビ役を演じる上で、何かしらのヒントになればいいなと思って、実際に起きた事件に関する記事を調べて読んだり、凶悪事件の解説動画なんかも見たりして。ヨビは登場シーンからして強烈だし、一見すると生まれつきのサイコパスに見られがちですが、実は幼少期に育った環境が原因で反社会的な人格障害を持つソシオパスであることが明らかになっていく。そのバックボーンを意識しながら、ヨビの表情を作っていきました」

―― ヨビはかつて“ヒル狩りのカラ”の異名を持つ伝説のヒル、カラ(坂口健太郎)に救われ、それ以来、自らもヒルとして生きるようになったという過去がある。男性ファッション誌「MEN'S NON-NO(メンズノンノ)」のモデル仲間として、長年に渡り互いに切磋琢磨してきた栁と坂口。本作で共演した際の想いも訊いてみた。

「観ている人にとっては“モデルの坂口健太郎”というイメージはもうとっくにないと思うし、僕からしても芝居を見ていて『面白いな』と素直に思う役者の一人なんですが、お互い役者として現場で会うのはやっぱり感慨深いものがあります。今回の劇中のヨビとカラの関係性やシチュエーションも相まって、尚更感慨深く感じた部分もあるかもしれません。“メンノン”時代からずっと健太郎は爽やかで、俺は割とダークなイメージのキャラクターを担いながら二人で頑張ってきたところがあるんですが、今回はどこかその集大成みたいな感じもあったんですよね。『やっぱり健太郎はヒーローなんだなぁ』って思いました(笑)」

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―― 今回のヨビに限らず、感情の起伏が激しいキャラクターを演じることも多い栁だが、日常生活で役を引きずらないために意識していることはあるのだろうか。

「いまはコロナ禍でなかなか行けないですが、僕の場合は友だちと会って飲んで、役と自分を切り離すことが多いような気がします。特にヘビーな役柄のときは出来るだけ一人になる時間を作らないようにするのも意外と大事だったりします。というのも、家に帰ってYouTubeをつけると、過去に調べた事件の関連動画が次々自動再生されることがあって。ふとした拍子にその映像が目に入ったりすると、一気に気持ちがズーンと落ちてしまうんですよ(苦笑)。一度落ち込むと割ととことんまで落ちるタイプなので、撮影中はそうならないように気を付けています」

―― 映画やドラマでは感情をむき出しにすることもあるが、栁自身は物腰が柔らかく、いたって穏やか。普段からあまり感情を表に出すことがないという。

「ヨビじゃないけど、やっぱり人は育ってきた環境に影響される部分がかなり大きいような気がします。僕には姉ちゃんが二人いて、母親がめっちゃ怖くて、親父は超大人しかった。うちは典型的な女系家族で、栁家の中では男に権限が全然なかったから、無意識のうちに自分の感情を抑えていることが多かった。しかも超大好きだった俺のじいちゃんは、『男たるもの涙を見せるな!』という武士みたいな人で。そのじいちゃんの影響もあって、僕も子どもの頃から家で泣くことがほとんどなかったんですよね。でもだからこそ芝居をするときに、激しい感情を思い切り出せるところもあるのかもしれない。フラットな自分に戻れる対処法を知っていて、自分をコントロールする術が分かっているからこそ、役の感情に引っ張られすぎて狂暴になったりすることもなく、ちゃんと我慢していられる気がします(笑)」

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―― 放送中の「アクエリアス 飲むコンディションメイク 乳酸菌ウォーター・1日分のマルチビタミン」のTVCMでは、ヨビとは打って変わって子供を肩車する父親のような男性を演じている栁。「イメージに縛られることなく、常にフレッシュな役者でいたい」と話す。

「いつまでも新鮮味を感じられる役者でいたいというか、観た人に『この人の芝居って何なんだろう?』と思わせる役者になりたいと思っています。役柄を通じてもっといろんな自分を見せていきたいし、いままで自分が一度も表現したことのない感情や動きもきっとまだまだたくさんある気がするので。僕は、新・旧の音楽やカルチャーと出会うのが好きなので、面白いことにアンテナを張っている人が集まる場所に、積極的に出かけていくようにしています。役者仲間に限らず、いろんな業種の人たちから常に刺激を受けていたいです」


Writing/渡邊玲子

インフォメーション

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(C)WOWOW

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『WOWOWオリジナルドラマ ヒル』

毎週金曜23:00~放送・配信(全12話)
【放送】毎週金曜 午後23:00[第一話無料放送]【WOWOWプライム】
【配信】各月の初回放送終了後、同月放送分を一挙配信[無料トライアル実施中]【WOWOWオンデマンド】


21歳の四宮勇気(赤楚衛二)は友人もおらず、バイト漬けの孤独な日々を過ごしていた。ある日、いつものように夜勤バイトから帰ると、部屋には腹部をナイフで刺された見知らぬ男(栁俊太郎)が座り込んでいた。男は搬送先で目を覚ますと、刑事にむかって自分は“四宮勇気”だと名乗り、ユウキを指さしながら「この人が自分を刺した」と供述するのだった。咄嗟にその場を逃げ出したユウキは、一瞬にして逃亡犯となってしまう。そんなとき、目の前にゾーカ(吉川愛)という謎の女が現れ、⽗親を殺したある人物の復讐を手伝って欲しいと頼まれ行動を共にすることに。ゾーカは住人が不在の家を渡り歩いて生活する、通称“ヒル”だった。二人はやがて“ヒル狩りのカラ”の異名を持つ伝説のヒル、カラ(坂口健太郎)と出会う。カラもまた、復讐のためだけに日々を抜け殻のように生きるヒルだった——

▼詳細
https://www.wowow.co.jp/drama/original/hiru/?cptrial=1&argument=6A92YCES&dmai=wc00fb22020169

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