「BLというジャンルの作品に触れたのは、おそらく『ギヴン』が初めてです。知らないジャンルなので、最初は抵抗まではいかないけれど、“どんな内容なのだろう”って。でも、触れてみたら男女とか、男同士とかではなく人間同士の話だと分かり、“いい青春作品だな”と心から思いました。バンド仲間との関係値は、恋愛が絡んで多少複雑だけど、アツさのある作品です」
「恋愛要素も入るから普通のバンド仲間よりもしがらみも増えるけれど、意見を言い合うときの熱量のぶつけ方が本気なところはすごく気に入りました。僕の中にない要素なので、BL作品を理解しきれていないところも当然あると思います。でも、バンドものは昔から好きだったので、読みやすい、観やすいと感じました。“バンドマンをやれる!”というモチベーションも高かったので、すんなりと世界観に入れたのかもしれません」
「バンドにはかっこいいという憧れがずっとあったので、バンドができるというだけですごくうれしかったです。ただ、練習時間がほとんどなくて、2週間で1曲やらなければいけない状況でした。とりあえず、指を正しく動かすことを身につけ、完璧に弾けなければいけないパートを決めてもらい、そこは必死に練習しました。最初は“思うように指が動かない”という感想でしたが、撮影が終わる頃には、意外と弾けるようになったなと。もちろん、2週間という短い期間の割に、ですけれど(笑)。ベースは家で自主練していても演奏している感覚がなくて。初めてスタジオでアンプに繋いだときに聞いたベースの音には超感動しました。演奏しているという感覚を植えつけると上達は早くなるんじゃないかと実感した瞬間です」
「バンドを組んだらおもしろいだろうな、とは思いました。ちょっと楽器を続けようかなという気持ちもあるけれど、ベースはバンドでやらないとおもしろさを感じなそうだし、かといってギターを始めるかと訊かれたら……、なかなか始められないし、続かないかな(笑)」
「僕のクセもいいところも、ダメなところも多分、分かってくれているから、現場では必要最低限のことしか言われなかったです。原作がある作品なのでキャラ設定はすでにあるし、はめ方は分かっていたので。真冬役のさなりくんが、俳優として連続ドラマ初なのでフォローしてね、みたいな話はありました。ちょうど、キャラの関係性も先輩と後輩で、撮影現場でも同じように接していました。秋彦役の井之脇海くんとは、2人のシーンよりも4人のシーンでのほうが、演技プランをいろいろと話した気がします。立夏役の(鈴木)仁とは、メンノンでの共演はあったけれど、役者としては初共演。すごく新鮮で、発見もあっておもしろかったです」
「原作通りにやるとポップになりすぎるイメージがありました。立夏、真冬、秋彦3人のトーンがわりと低いので、原作通りだと温度差が生まれてしまう。そうすると、春樹がちょっと浮いてしまう気がしたんです。なので、僕のワガママで、一旦、春樹を自分に落とし込んで表現した部分はあります。春樹が悪目立ちするのだけは避けたかった。最年長でバンドのリーダーだけど3人の中でテンションが高め、塩梅はなかなか難しかったです」
「気持ちがバレたら、めんどくさいことになるから隠さなくちゃ、と思いながらも好きは伝えたい。でも、リーダーとしてバンドのメンバーに迷惑はかけられないから、春樹は常に葛藤し、戸惑いもあります。“言っちゃおうかな”“いや、ダメだよな”みたいなことを目線でなんとなく表現するようにしていました」
「気遣いやさんだけどすごく不器用で、どこか大雑把だけど、そんなところも愛されてしまうキャラ。かわいらしいところは僕にはない要素なので羨ましいと思うし、人間性も含めて、すごく好きなタイプです。ちょっとバカだなというか(笑)、間が悪いところもあるけれど、やっぱりかわいさが勝って好きになると思います」
「まずは、見た目でできる限り寄せたいという気持ちがあります。最初に目に飛び込んでくるのはビジュアルなので、できる限りこだわりたいです。でも、どうしても生身の人間だから、自分に落とし込んだときにズレは出てしまうもの。そんなときは、監督、衣装さん、メイクさんと一緒になって寄せていく作業をします」
「数日前にはじめたばかりですが、体を少し大きくしなければならなくて。まさに今、挑戦中です。これまでは細身の役が多かったので、作品のために本格的に体を作るのは初めてかもしれません。役で挑戦したいのは、歴史上の人物を演じること。殺陣もやってみたいし、いろいろな時代の衣装も着たいし、所作なども勉強したいです」
Writing/タナカシノブ
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