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ある退屈な町の片隅で、愛を求めてあがく若者たちの絶望とかすかな希望を赤裸々に描く映画『きみは愛せ』。主人公・慎一を演じるのはコントユニット「グレアムボックス」などで活動する海上学彦。撮影の様子や作品について話を聞いた。

映画を見て何かのきっかけが生まれたらすごく嬉しいです

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―― 2020年1月に金沢で撮影が行われた『きみを愛せ』。今年2022年1月28日に劇場公開が決定したが、現在の心境はー。

「まずは映画館で上映していただけることを本当にありがたく思います。今の世の中の状況的にいつ上映できるかわからなかったので、上映出来て嬉しいというのが一番の気持ちです」

―― 本作に出演した経緯とは。

「実は葉名恒星監督とは同じ大学で僕が2つ上の先輩なんです。とは言え、学生時代は一緒にいるわけでもなかったし、僕は役者をやりたいと思っていたけど彼が映画を撮りたいという話を一切聞いてなくて。卒業して役者になって、ある時葉名さんから「海上さんにオーディションを受けて欲しい」って事務所に連絡が来たんです。彼はCMのオーディションのスタッフとして関わっていたのですが、その時はプライベートの話をするタイミングもなく。その後、別の映画のオーディションに行ったらまた彼がいて、そこでも話すことができなくて。後日「ご飯行きましょう」と連絡が来て、「まだ脚本ができていないけど、映画を撮ろうと思っているので海上さんに出演して欲しいです」と声をかけていただいて、出演することになりました」

―― 「どことなく自分と似ている慎一を精一杯生きました」と語る海上。慎一と似ていると感じるのはどの部分なのだろう。

「慎一は周りにいる大切な人に優しい一面があって、自分でいうのも恥ずかしいんですけど、僕も「優しい」と言われたことがあるんです。中学か高校の時に女性に対してすごく優しくしたら好意があると思われてしまったようで、女友達に「優しすぎるのは良くないよ」と言われたことがありました(笑)。でも当時は優しすぎることが相手に好意を持たせたり、傷つけてしまう可能性があることが理解できなくて……。慎一も好きな凛に対して今の関係を崩すのが怖くて、優しさを見せすぎると相手に申し訳ないんじゃないかと思っている部分があるんですけど、もしかして凛はそこが嫌なのかもしれないと感じていて、そういう部分は似ているなと思って演じていました。映画を見た人は慎一に一番もどかしさを感じるかもしれないですね」

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―― 自身も脚本を書いたり、演出を手掛ける海上。葉名監督の演出はどう感じたのだろうか。

「大学の先輩・後輩というより俳優と監督という関係性の方が強かったので、演出されることに違和感は一切なく、ただ監督だなと思っていました(笑)。自分でこういう役だろうなと考えて現場に入って、一度演じてみて監督に演出をつけてもらうことが多いんですが、葉名監督は役者に無理をさせずに寄り添ってくれるのですごくやりやすかったです」

―― 作品の中で印象に残ったシーンを聞いてみると。

「作品の後半の慎一が雀荘に乗り込むシーンですね。クライマックスでもあるし、他のキャラクターに比べて感情をあまり出さない慎一が感情を出すシーンでもあるのでより意識して演じました。弘志役の高野(春樹)さんのアドリブもあってすごく感情的になったので、どう映るのかなと思っていました。あとは朋希や凛や弘志は思ったことを口にして怒ったり泣いたりするのに比べて慎一は何考えているんだろうという部分が多いけど、感情がなさすぎに見えないよう、そこのバランスを考えながら演じました」

―― 撮影期間は2週間、オール金沢ロケで行われた。

「一番環境として良かったなと思うのは慎一と朋希がルームシェアをしているロケ地の部屋に、実際に朋希役の細川岳くんと2人暮らしをしたことです。僕らの部屋に集合して撮影するはもちろんよかったのですが、撮影シーンが別だと終わる時間が違うので、帰ってくるとどちらかが部屋で寛いでいるのもよかった。細川岳くんとはこの映画で初めて会って、撮影の前から何回かご飯に行ったり、釣り堀に行ったり、カラオケに行ったり、関係性は何となく作れてはいたんですけど、一緒に暮らすことでより距離感が近づいたので一緒に住むってすごくいいなと思いました。今までルームシェアをした経験がなくて、合わない 人は合わないって聞いていたのですが、僕はストレスなく過ごせました。岳くんがどう思っているかわからないけど(笑)」

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―― 朋希の口癖「愛だな、愛」が作品内に何度も登場し、印象的なイメージを残している。海上が最近愛情を注いでいるものとは。

「うーん、難しい。ちょっと違うかもしれないですが、この作品に参加し、宣伝していると、役について考える時間も多く、必然的に“愛”について考える機会が増ました。映画を見る時にも「この台詞良いな」とか、解説を見て「こういう解釈あるんだ」と思ったり。映画に限らず漫画や舞台も含めてですが、作品を見る“愛”が深まりました。去年はこういう状況でなかなか映画館に行ける機会が少なかった分、今年はその“愛”を深めるためにもたくさん通いたいと思っています」

―― 普段から多くの作品を見ている海上。映画館で映画を見ることにこだわりがあるように感じるが……。

「僕は映画館で見ることが大好きで、よくミニシアターに通っています。最近はスマホやTVで映画を見られる環境が増えていますが、どうしても雑念というか、ながら見をしてしまうことがあると思うんです。映画館という空間は、ちょっと言い方が強いですが、携帯の電源は切るし、スクリーンに映っていることだけに集中できる強制的な空間なのでより映画に入り込めるんだと思います。他の何かに邪魔されず映画に集中できることが魅力で、それが僕が映画館で映画を見ることにこだわるところです。『きみは愛せ』も映画館で見て欲しいという監督の気持ちが強い作品で、そうやって集中できる環境で、この映画の思いを感じ取ってもらえるといいなと思います。そして何より自分が映画館に行くことも多いので、自分が出ている作品を映画館で見てもらえるのは役者としても本当に嬉しいです」

―― 「映画館でしか感じることのできないものがあると、僕は信じている。」と語る海上。この作品のどういう想いを伝えたいのか。

「そうですね、例えばこの作品は見終わった後に恋バナをしたくなるとか、好きな人に思いを伝えられなかったけど伝えてみようとか思ってもらえると良いですね。この映画を見て何かの“きっかけ”が生まれたらすごく嬉しい。自分も映画から多くのきっかけをもらっていて、例えば大学受験の二次試験の小論文で、映画について書いたんです。というのもセンター試験が終わった後、たまたまふらっと寄った映画館でナチスの独裁をテーマにした作品を見たんです。そして1か月後の二次試験でそれを例に出した小論文を出しました。多くの映画を見てきてかなりストックはあったはずなのですが、たまたま見たその作品を題材にして書いたのは、その作品にすごい影響受けたんだなと思って。その題材を書いたことで合格したかはわからないですが、少なくともその作品が僕の人生に関わってひとつの“きっかけ”になっているなと思っています。『きみは愛せ』もせっかく劇場に来てもらったのだから見る前には思いつかなかった行動を起こしたり、考えるきっかけになったり、何かを感じて帰って欲しいなと思います」

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―― 登場人物の色々な気持ちが込められた印象的な作品のタイトル『きみは愛せ』。どんな想いが込められていると思うか聞いてみると。

「実はこのタイトルが生まれた瞬間に立ち会ってまして。元々は別のタイトルだったんですけど、撮影中に僕と岳くんと高野さんと田中(爽一郎)くんの4人で飲みに行って、役の話とか自分たちの恋愛の話ですごく盛り上がって、その帰りに岳くんと二人で家まで歩いて帰っている最中に「この映画ってこういうことだよね」って話になって。その時岳くんが「このタイトルどうですか」と言ったのが『きみは愛せ』で。全員が誰かを愛することに不器用で、誰かを愛したいと思ってもうまくいかなくて、周りの人に幸せになって欲しいというみんなの想いを岳くんが言葉にしてくれたんです。そしてその場ですぐ岳くんが監督に電話したんですが、僕には監督の言葉は聞こえなかったので「どんなリアクションだった?」と聞いたら「あんまりですね。ちょっと考えるわ、って言ってました」っていい感触感じゃなかったんです。でも気がついたら『きみを愛せ』に決まってました(笑)。監督の伝えたい想いと岳くんが出したタイトルが合致したんですね、きっと」

―― 最後に海上にとってこの作品はどういう作品になったのか聞いてみた。

「映画が好きで役者を始めた時の気持ちに戻してくれた作品です。映画に出たいという気持ちはあってもなかなか出られない時期もあったので、こうして葉名監督が声をかけてくれて僕をイメージして慎一というキャラクターを作っていただいて、良い関係性で映画を作ることができたので映画って本当に最高だなと思いました。葉名監督には感謝しかないです」


インフォメーション

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カナザワ映画祭 「期待の新人監督スカラシップ」第1回作品『きみは愛せ』

1月28日(金)よりアップリンク吉祥寺ほかロードショー


リサイクルショップで働く無欲な男・慎一(海上学彦)、スナックで働きながら好きな人を待つ毎日を過ごしている慎一の片想い相手・凛(兎丸愛美)、そして、雀荘で働く凛の兄で慎一の同居人の朋希(細川岳)。都会から離れた小さな町で、何となく満たされて、どこか物足りない毎日を平和に過ごしている3人。
傷つくことを恐れる彼らの生活は、ある出来事をきっかけに予想もしていなかった結末を迎えることになる。

▼公式サイト
https://eiganokai.com/kimiaise/index.html



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