「オーディションでは映画のラストシーンを演じました。とても難しいシーンで、どう演じればいいのか悩みましたし、一生懸命考えてのぞみました。だからこそ合格したと聞いたときはとてもうれしかったです。学校から帰ってすぐに母から合格したことを聞き、思わず飛び跳ねたくなるくらいの気持ちでした」
「僕は家族と何でも話せる関係で、親はいつも僕の味方でいてくれ、寄り添ってくれています。だから、優太の気持ちを理解するためにクランクインの1カ月ほど前から松本監督と何度も話し合ったり、本読みをしました。ひとつひとつのシーンに対して、思っていることを書き出してみてと言われ、優太の気持ちを想像しながら台本に書きこんでいきました。僕とは全く違う生活を送っている優太なので、最初は想像することも難しかったです。撮影に入ってからは、おっちゃん役のオダギリさんからも動きやセリフの言いまわしに対してアドバイスをいただき、とても勉強になりました。撮影の後半は地方で行われたので、初めて親元を長期間離れての生活でした。優太の境遇とは異なりますが、僕にとって初めてのひとりでの生活だったので、家族がいないさみしさを実感することができました。本当の孤独ではないけれど、さみしい気持ちを体験したことで、優太の気持ちが少し理解できたと思います。実体験として優太の気持ちを共有できなくても、自分が経験したことのある怒りや悲しみを優太の気持ちに近づけていくようにひとつひとつ考えて演じました」
「オダギリさんとは同じシーンが多かったので、撮影の合間に色々とお話をさせていただきました。作品全体のことをとても考えていて、監督と話している姿をよく見かけました。撮影後にみなさんと食事に行ったときにも、演技のことなど色々と質問することができて貴重な時間になりました。撮影前の準備や役者としての心構えなどもうかがったのですが、1本筋が通っていてとても素敵な方です。
川島さんは、お姉さんのような存在です。普段はやさしく話しかけてくれてリラックスさせてくれました。撮影になるとスイッチが入り、詩織の顔にすっとなるのがすごいなと思いました。エンディング・テーマ曲の『夢で逢えたら』のPVでまたご一緒できて、うれしかったです。
母親役の松本まりかさんは、僕がどうやったら感情を高められるかを若葉(竜也)さんと一緒に考えてくださいました。納得いくまで何度でもやっていいよとおっしゃってくださったので、難しいシーンでしたが自然と優太の気持ちをつくることができました」
「仲野太賀さん演じる片岡のリサイクルショップでのやり取りは、他のシーンと違って雰囲気が少しやわらかくなるような気がして好きです。優太の心の変化が見られるところでもあるなと思っています。優太が海へ入っていくシーンは緊張感があって、印象に残っています。『全力でやって大丈夫だよ』と川島さんがおっしゃってくれたので、僕も躊躇せずに全力で演じることができました。一発撮りだったので、撮影前は感情を高めなきゃと緊張していましたが、はじまってみたら無我夢中で、気づいたら優太の気持ちになっていました」
「撮影前に監督と話すなかで、一番印象に残っているのがラストのセリフについてでした。僕は、何もかも嫌になって自分の人生に絶望し、全てを諦めてしまったから出た言葉だと思っていたのですが、絶望のなかにも希望を持ったひと言だと聞いて驚いたと同時に、とても深い言葉なんだとぐっときました。がんばって立ち上がってもつまずいてしまう優太だけど、世の中理不尽なことばかりだけど、全て受け入れた先に何かあるかもしれない。暗いだけじゃない、小さいけれど光は見えているラストなんだと。全て受け入れた優太の表情も自然と出てきました」
「車が好きだから将来は車に関わる仕事ができたらと思っていたので、芸能界に入るなんて考えたことがありませんでした。最初はどういう世界かわからないので、躊躇していましたが、今は俳優という仕事に出会えたことに感謝しています。この映画を通して、もっと色々な作品に挑戦したいという思いがわいてきました。新しい自分に出会えるのも楽しいし、撮影後の達成感はなかなか味わえるものではないので、やりがいのある仕事だと思っています。優太はとても難しい役でしたが、悩みながら演じきったあとは、心にぽっかりと穴が開いたようにさみしい気持ちになりました。そして、次に向かってがんばろうという気持ちにもなりました」
「優太がさまざまな試練を乗り越え、少しずつ感情が変化していくのでそこに注目して見てもらえたらうれしいです。」
Writing:岩淵美樹
MOVIE
8月11日(木・祝)公開
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