田中雅功「『ボタン』というタイトルには、いろいろな意味を込めています。押すボタンや、お花の牡丹、服についているボタンとか。その中でも、一番伝えたいのは服のボタンですね。去年は僕らも有観客のライブがなかなかできなくて、歯がゆい、もどかしい、不安という気持ちがすごく募った一年でした。そんな中でも、アルバムの最後に入っている『会いに行こう』はステイホーム中にリモートで作った曲ですし、ひらめさんとコラボした『ストーリーズ』、ニャンさんと作った『別れた後に僕が思うこと』だったりと、人との繋がりを感じられる曲が詰まったミニアルバムだと思っていて。だからこそ、僕たちのミニアルバム『ボタン』が、服と服を繋ぎとめるように、離れていてもみんなと僕たちを繋いでいられたらなと。そんな存在にこのアルバムがなればいいなと思っています」
髙田彪我「最初に『ボタン』というタイトルが決まりました。今回は初期楽曲の『きみでした』『またたび』『かぜいろのめろでぃー』をアコースティックバージョンで収録しているんですけど、改めて聴いていくうちに当時とはまた違う解釈が生まれてきたんです。だからそういう意味でも、いろんな解釈ができる言葉をタイトルにしたいなと思いました」
田中「お花のボタンには、誠実、壮麗という花言葉があります。壮麗とは、規模が大きくて美しいという意味なんです。今は負の感情に飲み込まれてしまう人も多いと思うんですが、僕たちのこのアルバムが、みんなにとって壮麗になって笑顔になれるキッカケになれたらと。あと、もうすぐ20歳になるという年だからこそ、これまでを振り返って、それをまた未来に繋げられるように、もっと誠実に自分たちの音楽に向き合うという意味も込められています」
髙田「僕たちもコラボできると聞いたときはビックリしましたね。もともと、女の子目線の曲に挑戦したいなと思っていて、まずは自分たちで作ろうとしていたんです。でも、なんというか自分たちは純正の男の子なので(笑)、あまり女の子の気持ちがわからないから描くのが難しいなと思っていて」
田中「やっぱり細かい仕草や考え方が違うから、どうしてもそこの壁はあったよね。だから、初めての女の子目線の曲は女性に描いてほしいなと思っていたんです。あと、彪我がずっとSNSに絡めた曲を作りたいと言っていたので、その二つのテーマを上手く絡めて作りたいなとも考えていて。そんなときに、ひらめさんが僕らの『きみでした』をTik Tokでカバーしてくれていて、これはもうひらめさんにお願いするしかないと思って、お声をかけさせていただきました」
髙田「SNSをテーマにした曲はバズっている印象が強いので、僕らも“一バズリ”したいなと思いまして(笑)。あと、SNSがテーマだと現代の若者に共感を得やすいと思うんです。僕たちも人の心に寄り添える楽曲を歌ってきているので、そういう意味でもSNSを題材にした曲に挑戦してみたいなと思っていたんですよね」
田中「ひらめさんにお伝えしたこととしては、今言ったような女の子目線の曲で、SNSを絡めてほしいということ。あと、やっぱりひらめさんの曲はとても可愛いので、可愛らしい感じがいいなと。打ち合わせでは、長い話し合いになるかなと思ったんですけど、すんなり「分かりました」と言ってくれて。そしてすぐにデモも作ってくださったんです」
髙田「恋のストーリーと、インスタのストーリーズにかかってる!というのがまず驚きました。メロディーも素敵で覚えやすくて」
田中「デモの段階ではメロディーを2パターン送ってくれていたんですけど、今回リリースさせていただく方がもうすごい強烈なインパクトで。Tik Tok映えしそうだったし、ひらめさんっぽい可愛さも出ていたので、こっちでお願いします!となりましたね」
髙田「レコーディングのときも話し合いましたね。女の子目線の曲なので、あまり感情移入しちゃうと、それはそれで違うのかなと思っていたんですけど、結局レコーディング当日になると、歌詞のありのままを歌うのが一番伝わるのかなと」
田中「最初は絵本を読み聞かせている感じで伝えるのが良いんじゃないかと話していたんですけど、どうしても歌っていくうちに気持ちが乗っちゃうし入り込んじゃうんですよね。でも、そうなるというのはそっちがいいということだし、そっちがやりたいということだから、結果的にどんどん乗っていこうとなってレコーディングしていました」
田中「僕はAメロの最初の部分の「信号は青に変わる」という一文がすごく好きなんです。全体で見ると状況説明だったり、ただ風景を歌っているという感じなんですけど、この一文にいろいろなキッカケが詰まっているなと思っていて。風景として信号が青になったということも言っているし、赤から青に変わって、自分が、一日が、恋が始まっていくっていう意味にも捉えられるなと。Aメロの最初にピッタリな歌詞だと思いますね。ここはすごく詩的だから大好きです。僕は、人によって違う捉え方ができる歌詞ってすごく魅力的だと思っていて。あまり自分からここはこうですよって言うのは好きじゃないんですよね。さっきの『ボタン』の話もそうなんですけど、繋ぎとめる、花言葉というお話はしましたけど、その中でもいろんな捉え方をしてほしいし、この『ストーリーズ』もそうだなと思っています」
髙田「僕は、特に女の子らしい部分が出ている、ラスサビの「ふわふわわたがしのように 溶けるほど 甘い甘い恋なの」ですね。もうこれ僕らじゃ絶対に書けない!」
田中「書けないね(笑)」
髙田「恋をわたがしに例える発想がすごいですし、ここのフレーズをリズムに乗せるのも上手いなぁと。さすがひらめさんって感じですね。ここの歌詞を歌うのも楽しいんです。歌っていると心がわたがしのようにフワッとするというか。改めて歌詞を見ても、こんなに男の子と女の子で考え方が違うんだって実感しました。おもしろいです」
田中「うん、全然違うよね。女の子ってこう考えているんだなって勉強になりました」
田中「最近は僕らで作る曲も多くなってきましたけど、この3曲は作家さんに作っていただいたというのもあって、めちゃくちゃおもしろかったです。今も全部できているかと言われたらそんなことはないんですけど、中学生の頃には見られなかった部分がすごく見えてきたなと。歌詞を見ながら、ここはこういう捉え方じゃないかとか、ここはこういう意味じゃないかとか、この言葉の奥にあるものってなんだろうってすごく話し合ったんです。もう一度、捉え方を洗い直すというか、二人で国語の授業をしている感覚でした」
髙田「どの曲も全く別の曲のように制作していったよね。そして、当時思っていたことと違う思いが出てきて、なんというか曲の成長を感じました」
田中「今までは『きみでした』というと、中学生の初恋をイメージしていたと思うんです。でも今回は等身大の失恋をテーマにしていて。すでに配信リリースをしているので、聴いてくださった方もたくさんいると思うんですが、皆さんの反応を見ていると、失恋を感じている人もいたし、初恋を思い出している感じなのかなって言っている人もいて。曲の解釈がすごく広がったし、深みが増したなと思いました」
髙田「雅功は昔から、歌声に関しては大人っぽいなと思っていたんですよね」
田中「そうなんだ」
髙田「ただ、表現力はすごく変わってきているなと思います」
田中「彪我はもう一目瞭然というか、声がビックリするぐらい違うよね。あと、下ハモを彪我が歌うようになったのも大きな違いかな。中学生の頃は低い声が全然出なかったから、主メロか上ハモを歌っていて、下ハモなんてもっての外!って感じだったんですけど」
髙田「そうだね(笑)」
田中「でも最近は下ハモもするようになって、大人の男性になってきたって感じがすごくします。一緒に曲を作っていても、お互いに表現の幅が増えてきたのですごく楽しいんです」
髙田「うれしいですね。そんなことを思ってもらえるなんて」
田中「再録は本当に楽しかったよね」
髙田「そうだね。同じ曲でもこんな違う考え方ができるんだって、可能性が増えた感じがしてすごくおもしろかった。今回は『きみでした(Acoustic Version)』のMVも撮ったんですけど、ファンの方からも「昔と違う」「切ない」という声をいただいたのでうれしいなって思いますね」
田中「前のMVとは全然違うもんね」
髙田「あのときはMV撮影の前に走り回って汗かいて怒られていたよね(笑)」
田中「そうだね(笑)」
髙田「懐かしいなぁ」
田中「コラボさせていただいたニャンさんは、SNSで恋愛系の投稿をされている方なんですけど、みんなが思っているけど口にしないような、すごく人の素に近い部分の内容を投稿していて。それが素敵だなと思ったので、今回お声がけさせていただきました。まずニャンさんにキーワードを伝えて詩を書いてもらって、それを僕がなんとなく曲に当てはめて、さらにそれをアレンジャーの永塚さんに整えてもらいました。だから、ニャンさんの世界観も確立されている中で、永塚さんの言葉使いが足されていて、それぞれの味がいい感じに混ざり合っている曲になったなと思います」
髙田「雅功とは7年ぐらい同じときを過ごしていますが、その中で、こういうことを書けるようになったのには、いろんな読み物を読んだのかなとか、どうやって想像をふくらませたのかなって考えましたね」
田中「聞いてきても僕が言わないよね(笑)。あと、彪我が知らないうちに書いていることもあるし」
髙田「そうなんだよね。曲ができあがって、作詞の欄見たら雅功だったってこともあったり」
田中「そこまでじゃないじゃん!それは盛ってる!」
髙田「すみません、盛りました(笑)。でも本当に、雅功とニャンさんのいいところが素敵に混ざった曲になったなと思いますね。歌わせてもらって、僕も「そっか、こういう失恋あるかもな」って共感しました」
髙田「最初に作ったのは弾き語りバージョンでしたが、今回収録するアレンジバージョンもすごくいい仕上がりになりましたね。また全然違った印象になっていると思います」
田中「この曲のアレンジを、結成当初からお世話になっている園田さんにしていただいたんですが、園田節も相まって、弾き語りバージョンとはまた違うものが感じられるんじゃないかなと。僕らも歌っていて前向きな気持ちになれる曲なので、聴いている人にももっと前向きな気持ちになってもらいたいと思いましたし、弾き語りからアレンジが加わって壮麗な仕上がりになっているので、この曲を聴いて笑顔になってほしいですね」
田中「それはどうでしょうか……(笑)」
髙田「初めてそこ突かれたね(笑)」
田中「今回はライブタイトルにも仕掛けがあったりと、いろいろやりたいと思っていることがたくさんあるんです。気持ちがふさぎ込んでしまう一年だったからこそ、みんなが持っている幸せな感情とか、プラスな感情をこのライブに実際に集めたいなと思っています。あまり詳しくは言えないですが、ライブが終わったあとには、花が咲いているんじゃないかなと」
田中「そうですね。でも今、結構言っちゃいました(笑)」
髙田「新しい季節の始まりということもあって、みなさんの新生活、新しいスタートを一緒に切れるようなライブにもしたいですね」
田中「早くみんなに会いたいね」
髙田「本当にそうだね。だから楽しみにしていてください!」
Writing:makie enomoto
MINI ALBUM
3月10日(水)リリース
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