髙田彪我「ありがとうございます。結成から5年という節目の年であり、僕らは高校卒業というタイミングでもあるんです。いろんなことが一気に思い返される感じですね」
田中雅功「あっという間に過ぎたけど(笑)、それだけ色々なことが詰まっていたんですよね。CDもたくさん出させていただいたし、ライブもたくさんやらせてもらって、本当に濃い5年だったなと思います」
田中「はい。でも学生生活もすごく充実してたし、楽しみました。登下校しているだけで「学生だなぁ」って気分も味わえてましたし、新曲が出れば学校の友達が大声で歌ってくれたりして(笑)。学校でやってきたことも結局は音楽活動に生きていたりもするから、全部がつながっているんだなという感覚でしたね」
髙田「歌詞とかにも反映したりしてるからね」
髙田「はい。5周年ということで5つの約束を果たすべく活動しているんですが、アルバムのリリースもその中のひとつになります。1つ目は、初のライブ音源を配信リリースしました。去年の日比谷野外音楽堂ワンマンの音源で、会場の空気感までしっかりと伝わってくる仕上がり。野音のワンマンは2回目なんですが、最初の時が台風直撃で、大雨の中でのライブになったんですね。予定していたことができなかったし、会場に来られなかったお客さんもいらっしゃったから、今回はリベンジという気持ちも込めていたんです」
田中「晴れ渡った空の下で歌えて、すごく嬉しかった。そんな、僕らの「よっしゃ!」って思いも伝わるようなライブ音源になっています。2つ目はツアー。『ドッ!菌!青春18本ツアー』というツアーを去年の夏に行ったんですが、“青春”をテーマに18本やってきました。やってみて気づいたのは、青春に終わりはないなってこと。青春って僕らのような10代のものっていうイメージだったんですが、年齢じゃなく、「楽しい!」とか「やっててよかった!」と思えるこの気持ちこそが青春なんだなと思いました。こういう気持ちを持ち続けていれば、青春に終わりはないんだなって。あとは、青春って1人じゃできないこと。僕は彪我がいたからできているし、さくらしめじは“きのこりあん”(さくらしめじのファンの愛称)のみんながいたから青春を謳歌できているんだなと感じました。高校生最後の夏に、そういう気持ちを見つけられてよかったです」
田中「僕達、結成したのは2014年の6月14日なんですが、その年の11月24日に、さくらしめじという名前と1stシングルのリリースが決定したんですね。その記念すべき日にワンマンをやるというのは、僕らにとってすごく意味のあることでした」
髙田「初めての昼夜2公演。昼はバンド構成で夜は2人だけの弾き語りという編成にして、僕らの音楽性の幅をしっかり表現することができたんじゃないかなと思いました」
田中「ここまで培ってきたものを全部出せた感じだったね」
田中「5周年であり高校卒業でもあるので、それこそここまで培ってきたものを全部込めたいなと。僕達の今というのをテーマに作り始めたんですが、今回は僕達自身で結構曲も作ったし、いろんな意見も出したりして、制作の面でもこれまで以上に関わらせてもらうことができました」
髙田「去年の夏のツアーには“青春”を追い求めるというテーマもあったけど、「さくらしめじが、さくらしめじになる」という裏テーマもあったんです。さくらしめじというものに僕らがついて行くのではなく、これからは自分達でさくらしめじを作って行こう。そのためにも2人で詞曲を書いたり、音源制作の細部にまで関わって作っていきたいと思いました」
田中「1枚目のアルバムは自己紹介みたいな部分もあったけど、今回は僕達がまた新たにアーティストとして一歩進むためのアルバムにしたかったんです。このタイトルはただの自己紹介ではなく、僕達自身がもっともっとさくらしめじになるための決意表明。2人だけじゃまだまだな部分も多いけど、このアルバムを通して僕ら自身も成長できればなと思っています」
田中「曲もほぼ揃って、じゃあ曲順を決めようかという時に、このアルバムをまとめ上げる骨格となるような1曲が欲しいなと思ったんです。いわゆるリード曲的なものは『合言葉』だと思うんですが、今作のテーマでもある僕達の今を象徴するようなものが欲しいなって漠然と。それでこの曲では初めて、作家さんと一緒に楽器を弾いたりディスカッションをしたりしながら作り上げました。“僕達の今”だけど、僕達だけじゃ気付けなかったことや、自分じゃわからなかった心の奥のほうまで引き出すことができました。僕らと同世代の人たちには特に、共感してもらえるような曲じゃないかなと思います」
髙田「はい。もともとはケータイのGarageBandという音楽アプリで、趣味的に作っていたものなんです。当時ボカロが好きだったので、自分がやってみたいドラムパターンやギターのリフを打ち込んでいたら、雅功が「曲にしなよ」って言ってくれて」
田中「ケータイでここまで作れるってすごいなと思ったし、趣味で終わらせるのはもったいない。「作ったほうがいいよ!」ってずーっと言ってたんだけど、なかなか作らず1年(笑)。だけど今回のアルバムは僕達が一歩前に進むための作品でもあるからって言ったら、やっと重い腰が上がったみたいで(笑)。めちゃくちゃいい曲ができました」
田中「去年のバレンターンデーに発表した『先に言うね』は2月中に10万回再生っていう目標を掲げていたんですが、残念ながら達成できなかったんです。その時は悔しい思いもありましたが、その後、きのこりあんの皆さんのおかげで結果的には10万回再生を超えたんですよ。改めて皆さんの存在の大きさを感じたからこそ、今回のアルバムはもっといいものにしよう思ったし、一歩進みたいっていう意欲にもつながって」
髙田「そうだね」
田中「そんな僕達の思いを曲としてお返しできたらという思いもあり、『お返しの約束』では10万回再生の時の映像やこれまでの僕達の活動を振り返る内容になりました」
田中「一昨年の12月の中野サンプラザで披露しているんですが、タイトルも言わないし、曲の説明も何もしない、お客さんにとっては謎の曲というか(笑)。「あの曲が良かった」って言ってくれる人はたくさんいたけど、別にアルバムにも入れなくていいかなくらいに思っていたんです。生で伝えたい歌詞の曲だから」
髙田「だけど、2人で色々話してね」
田中「僕達が伝えたいことはアルバム全体として表現はしているけど、もっとシンプルに伝えるために、この曲を最後に持ってきてもいいんじゃないかと。僕達の裸の気持ちを伝えるためにも、ここで形にして伝えようと思って決断しました」
田中「やっぱり何か特別なものにしたくて、何の手も加えていない僕達の声とギター、そして手書きの歌詞っていうものにしました。より純度の高い思いが伝わるかなと思って」
髙田「歌詞は2人で一緒に書きました。ちなみに、タイトルは無題でもいいよねって言っていたんですよ」
田中「タイトルをつけるつもりはなかったからすごく悩んだんですが、『イントロダクション』、つまりこれから始まりますっていう意味を持たせました。アルバムの最後に『イントロダクション』っていうのも面白いかなと思うし、僕達が一歩進むためにも、そしてこのアルバムを経てもっと前に進んでいくんだよっていう“これから、ここから”を伝えたくて」
髙田「3月30日にLINE CUBE SHIBUYAで高校卒業ワンマンライブを開催します!卒業って“別れ”とか寂しいイメージがあると思うけど、卒業してまた新しい生活とか、新しい出会いとか、新しく始まることもいっぱいあると思うんですね。タイトルは世界イチだけど、宇宙イチって言ってもいいんじゃないかなと思うくらい、ハッピーなライブにしたいと思っています(笑)」
田中「5周年とか卒業とか、どうしても振り返ることが多かったりもするけど、それで終わりじゃなくて。卒業しても人生はまだまだ続いて行くし、楽しいことも辛いこともこれからたくさん続くんだから、一生に一度、最初で最後の高校卒業はみんなで楽しい思い出にしたいなと思ったんです」
田中「そうなんですよ。卒業って、何も高校だけじゃない。それぞれの卒業とか旅立ちの思いを胸に、みんなでハッピーな1日にできたらいいなと思っています」
Writing:山田邦子
ALBUM
3月4日(水)発売!
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