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2019年、ドラマ「だから私は推しました」で連続ドラマ初主演を務めて以降、「G線上のあなたと私」や「イチケイのカラス」、「真犯人フラグ」など、数々の話題作に出演。高い演技力と確かな存在感で見る者に強烈な印象を残してきた桜井ユキの最新作『この子は邪悪』が公開される。かつて一家で交通事故に遭い、心に深い傷を抱える少女・花をとりまく不穏な空気感が漂う謎解きサスペンス。本作で植物状態から目を覚ました花の母・繭子を演じる桜井に、役作りや撮影中のエピソード、本作の魅力などを聞いた。

不穏な面もありますが、壮大な家族の愛の物語です

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―― 主人公は、一家で交通事故に遭い、心に傷を抱える高校生の花。心理療法室を営む父・司朗は脚に障害が残り、母・繭子は植物状態となり、妹・月は顔に火傷を負った。そんな花のもとに、自分の母親の奇病の原因を探る少年・純が訪れ、恐ろしい出来事に巻き込まれていくというストーリーだ。

「不穏な要素もあると聞いただけで、他に情報は何もないまま台本を読ませてもらいました。最初の印象は、切なくも壮大な家族の愛の物語だということ。それは今でも変わっていません。繭子でいうと、母としての切なさが強く打ち出され、家族の愛の部分も伝わってくる台本でした」

―― 演じるのは、事故で植物状態になるも、ある日目覚め、家族の元へと帰る母・繭子。しかし、娘の花は繭子に「あの人はお母さんじゃない」と違和感を持ちはじめ…。桜井は、美しくも妖しくミステリアスな繭子を好演している。

「私にとって今まで出演したことのないジャンルでのお芝居で、大きな挑戦ではありました。かと言って、今までの作品のお芝居と大きく変えてしまうと、茶番になりかねないと思ったので、作品に漂う得体の知れない空気感は大切にしながら、お芝居のトーンを意識しました。何回か変化していく役なのですが、その過程でこの人は一体どうしたんだろうと不自然に思われるようにはしたくないと思いました」

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―― 夫・司朗を演じる玉木宏との演技の温度感も意識したという。

「この作品は夫の司朗が家族愛が思いが強すぎることから迎える結末を描いているので、基本的に夫の司朗を演じる玉木宏さんとのやりとりや芝居の温度感に気をつけました。玉木さんは最後までナチュラルなお芝居を貫かれていて、そのお芝居が絶妙かつ本当に素敵でこの作品の要になっていると思います。玉木さんと私でお芝居について話し合うことはなかったのですが、二人とも同じ温度感だったので、無言の共通認識があったと感じています」

―― 司朗に劣らず、繭子の家族への思いも強いものがある。

「愛が溢れてしまってだと思うのですが、度を越すと危険や狂気を含んでいくんでしょうね。繭子の家族への思いや母としての一面について、監督は委ねてくださったので、現場で一度やってみた後にいろいろとお話をしながら微調整していく感じでした」

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―― 昨年の夏に撮影された本作。現場のエピソードを尋ねると、「とにかく暑かったです(笑)」と苦笑しながら即答。

「振り返ってどうですか?という質問には、『現場はとにかく暑かったです』という一言です(笑)。外での撮影はもちろん、家の中での撮影も大変でした。素敵な日本家屋での撮影だったのですが、クーラーがない場所もありまして、むわっとこもった暑さでしたね。外に出ると、サウナから出てきたときのような開放感を感じました。昨年の夏のいい思い出です(笑)」

―― 共演シーンが多かった長女の花を演じる南沙良、夫の司朗役の玉木宏、次女の月を演じる子役の女の子を中心に共演者の印象やエピソードについても聞いた。

「次女を演じる子役の女の子がとても可愛くて明るかったので、撮影の合間、『何が好きなの?』とよく聞いていました。玉木さんは、勝手なイメージですがお芝居にとてもストイックで、口数の少ない方なのかなと思っていて。でも、全然そんなことはなくて、“どこどこでお昼を食べたんだけど、おいしかったよ”とか、楽しそうに話しかけていました。いざお芝居になるととても怖かったですが(笑)、フランクで柔らかい方でした。南さんは、この作品でのお芝居はトーンが低めでしたが、彼女自身はほんわかとした空気感も持っているし、柔らかく、可愛らしさも兼ね備えていました。また、それでいて芯の強さを感じさせる素敵な女性でした」

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―― 予想外のストーリーと想定外のラストに翻弄され、クライマックスは衝撃と恐怖が連続する。役者陣の演技も見応え大だ。

「ネタバレになるので詳しくは言えないですが、ラストは特にぞわっとすると思います。一見平和そうに見えても、どこか不穏な空気が漂っているというか、恐ろしさや狂気が潜んでいる。そんな空気感を感じてもらえたら嬉しいです。全体的にカット割も少なく、奇妙な空気感が途切れずに活かされています。監督が実現したかった世界観を、完成作からより深く感じ、日本ではなかなかないタイプの作品になったと感じています」

―― 改めて、桜井が思うこの作品の魅力とは?

「この映画の予告などを見て、怖い映画なのかなって思っている方もたくさんいらっしゃるかもしれませんが、最初にもお伝えした通り、私は壮大な家族の愛の物語だと思います。家族の切なくも深い愛をメインに描きながら、結果的に不穏さを与える作品になったという印象です」


Writing:杉嶋未来

インフォメーション

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(C)2022「この子は邪悪」製作委員会

MOVIE

『この子は邪悪』

9月1日(木)新宿バルト9他にて公開


『嘘を愛する女』(2018)、『哀愁しんでれら』(2021)などのクオリティが高い作品を輩出してきたオリジナル作品による企画コンテストTSUTAYA CREATORS’ PROGRAM FILM 2017の準グランプリ作品の映画化。世界三大ファンタスティック映画祭の一つ、第42回ポルト国際映画祭のファンタジー部門にて審査員スペシャルメンションを獲得した。『たまこちゃんとコックボー』などの片岡翔が監督と脚本を担当。主題歌はゲスの極み乙女が書き下ろした「悪夢のおまけ」。主演は、『志乃ちゃんは自分の名前が言えない』などの南沙良、共演は、アイドルグループ「なにわ男子」の大西流星、「極主夫道」シリーズなどの玉木宏。
(PG12)

▼公式サイト
https://happinet-phantom.com/konokohajyaaku/index.html

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