「正直、いける気しかしないです。というのは、もちろん僕も人間ですから不安もありますし、赤裸々なことを言うと結果が出せなかったら次がないという世界だということもわかっていますが、まずは、ひとつの目標というかゴールにしているアジアツアーが出来る気がすごくしているんですよね。それは、僕の変な勘が言っていて。これまではファースト・インスピレーションで「いや、これはちょっと違うな」っていうこともあったんですが、今回このソロプロジェクトをコロムビアインターナショナルでやることになって、「パレード - PARADE」という曲を最初にレコーディングした時に、映画でいうファーストカットが上手くいった時のような感覚というのかな、「これはいいぞ」っていう感触を掴んだんです。それが、ソロとしての第一歩になった。もちろん勉強しなければいけないこともたくさんあるし、責任というか、これまでとは抱えるものも発信していくものも全然変わってくると思うので、ワクワクもしていますが、もう甘えられないなという気持ちでもあります。自分がフロントマンとして立たなきゃいけない分、自分で自分を作り上げていかなきゃいけないなっていうところもありますから」
「アーティスト像は、もちろん僕が作る部分もありますが、協力してくださっているスタッフの皆さんと一緒に作り上げていくものでもあると思っていて。みんなが作ったものにただ乗っかっているのではなく、ちゃんと全部のパーツに自分の血が通っていることを実感しています。例えば写真1枚にしても、ロゴのひとつとっても、そしてもちろん音源にしても、自分の意見が反映される状態にあるんですよ。ゼロから作っているチームの1人なんだよっていうことを肌で感じているからこそ、責任も感じるんですけどね。だけど「森崎ウィンはどういうアーティストなのか?」というものは、このチームで、いろんな経験を経ていく中で作り上げられていくものだとも思います。自分でも見つけていかなきゃいけないなと思いますが」
「そうですね。今のところ世界の共通言語として一番多いのは英語かなと思うので、名前の表記に関してはぱっと見てわかるように意識をしました。レーベルに関してはまず、もうすぐ30歳になる僕がメジャーレーベルでリリースできるというありがたみを感じています。メジャーレーベルが付くのは当たり前じゃないんだということは僕自身が一番良くわかっていて、これは僕がいただいたチャンスだと思っているし、周りの方も含めてみんなが“WIN WIN”になるための、そしてそれぞれプロとしてやるべきことをやって、アジアから全世界に発信するためのチャンスだとも思っています。僕も含め、みんなプロとしてやり切らなきゃいけないなっていう気持ちで臨んでいます」
「はい。グループの場合、例えばステージに立った時に「この床、踊りづらいね」とか(笑)、些細なことでも共有できる仲間がいるっていう喜びや楽しさを肌で感じながら、いろんなことを分かち合ってきました。同じ目線に立っている人がいるからこそ違う意見が生まれる、その大切さみたいなものもすごくありましたね。ソロになると、(ステージには)自分と同じ立場の演者がいないからこそ、自分が中心になってくる。僕しかいないからこそ、自分が見せたいものを見せられる…もちろん通るものと通らないものがありますが、そういう面白さと責任みたいなものがあるなと感じています」
「エンターテイメントとしての音楽と向き合い始めたのは、スターダストに入って、PRIZMAXとしての活動が始まってからなんです。人前に立って歌ったり踊ったりするようになってから、エンターテイナーって何なんだろうということを考え始めました。ステージに立って人々を惹き寄せるような人になりたいなって思い始めたのもPRIZMAXに入ってからです。音楽の幅もすごく広がりましたしね」
「コロナの自粛期間にリモートで打ち合わせなどを重ねる中で、いろんなことを考えました。ソロへの不安や恐怖もあったし、現場に行けないからなおさら「どうなっていくんだろう?」って思ったりもしたんですが、原点に戻って、そもそも自分はどうしてグループでの活動をやり切った後も歌を続けたいのか、というところに立ち戻ったんです。役者1本でもいいわけで、たまにファンミーティングなどで歌えばいいじゃんっていう考え方もできるのに、どうして俺は人前で歌いたいんだろう?と。そこに着目出来たのは大きかったです。何を伝えるかやどういう音楽をやるかは、その時々でも変わっていくと思うんですが、結局僕が音楽をやりたい理由は、純粋に心から音楽が好きだからなんですよね。苦しい時も楽しい時も、僕の人生のそういう一瞬一瞬を記録として残していけるもののひとつだから」
「はい。僕はライブで歌うことが本当に好きだし、そこにいるファンの方の笑顔を見ると「あぁ、誰かのためになっているんだ」という実感も湧くというか。「ウィン君を見ると元気になれる」とか「ウィン君が夢を叶えるたびに自分も感化されて頑張れる」という言葉を貰ったりするたびに、アジアツアーは絶対にやらなきゃいけないって思いも強くなっていくんですよね。ミャンマーにいる夢を持った子供達に、ミャンマーから出て俺はアジアツアーをやったぞ、世界に発信したぞって、勇気を与えるきっかけにもなると思うから」
「そうですね。大きな一歩を踏み出す、ここから前に進んでいくんだというのが今の自分の気持ちであり、そういうメッセージ性を感じてもらえる曲になっていると思います。パレードって行進という意味なんですが、森崎ウィンは止まることなく一歩一歩踏みしめながら前に進んでいく。僕にとっても、そしてたぶん今は世の中にとっても、新しい世界に突入しているというか、新たなフェーズが始まっている時期だと思うんですね。不安や恐怖、戸惑いなんかもめちゃくちゃあるけどいこう!せっかく世界が幕を開けるんだから、受け入れて進んでいこう!そういうことを表現したくて、伝えたくて、今作のリード曲を「パレード - PARADE」にしました」
「めちゃくちゃありましたね。最高でした。ライブでちゃんと歌えるのかなって話ですけど(笑)」
「今回はご自身もアーティストとして活動されているSWEEPさんに、ボーカルディレクションをしていただきました。とにかく初回からすごく感覚や呼吸感が合って、僕1人では考えつかなかったものや、「ウィンなら絶対に歌える」という部分を見抜いて引き出してくれました」
「この曲はとても苦労しました。英語なのでわかりづらいかもしれないんですが、1番と2番の歌詞が同じなんですね。「歌詞を繰り返す意味って何なんだろう」「同じ言葉を使って起承転結を表現するには」など、SWEEPさんを筆頭にみんなですごく考えました。細かく言うと、1番はステレオで6本くらい録っていたりするんです。イヤフォンで聴くとさらによくわかると思うんですが、とにかくレコーディングの仕方や表現に拘った1曲でした」
「その観点は嬉しいです。もちろん解釈は自由なんですが、この曲を入れたひとつの理由として、このepをサブスクなどを通してミャンマーにもお届けしたいなというのはありました。今回は“ザ・バラード”みたいな曲がないので、そういう位置になればいいなというところで選んだ1曲でもあります」
「この2曲はアシッドジャズというジャンルらしいです(笑)。というのも、この辺りは僕の引き出しに全然ないものだったんですよ。だから最初にデモを聴いた時は、正直「これ、歌えるのか!?」って感じでした。どうやって歌い回すんだろうって、レコーディングするまで解釈ができないところもあったりして。だけど、やってみたらすごいものが出てきた。今はもう、めちゃくちゃ好きな曲になりましたね」
「この曲は、1曲の中にいろんなジャンルが混在しています。サビだけ聴くとJ-POPみたいだけど、AメロやBメロはR&B。Dメロになると急にミュージカルみたいになったりしてすごく面白い。しかも僕はこれまでにそういったジャンルに携わってきているから、いろんな森崎ウィンがこの1曲に詰まっているとも言える曲になっているんです。アウトロがフェードアウトになっているのは、このEPをループしてもらいたいっていう思いから。ここで終わりじゃなくて、何度でも聴いてほしいなっていう思いが込められています」
「そうですね。今後配信ライブも8月29日に予定していますが、僕自身、正直こういう状況になる前の、あの“ワンダーランド”にまだ思いを寄せていたりもするんですよ」
「今回の作品について「新世界に向かって頑張っていこう」と口にしながらも、未練たっぷり(笑)。とはいえ、新しい世界を受け入れながら、みんなと楽しめることをこれからたくさん見つけていけたらいいなと思っているところです」
「繰り返しになりますが、まずはアジアツアーをやりたい。そしてアジアを拠点に、世界に発信していきたいという夢があります。でもこの夢は、俺1人じゃ叶えられないんです。バックアップしてくださるスタッフがいて、チームとして作り上げたものをファンのみんなに届けて、今度はそのファンのみんなからのパワーを受け取って森崎ウィンは大きくなっていくものだと思うから。最近たまに「ウィンくんが遠い存在になってしまう」みたいなコメントもあるんですが、どんどんメディアに出たりして大きくなっていくからといって、応援してくださっているファンの方から離れていく気持ちなんて全くないんです。大きくてキャッチーな作品で出るメディアでは見られない森崎ウィンが音楽に詰まっているわけですし、それこそ個人的にやっているエッセイやラジオも、僕のことを本当に愛してくれている人達が支えてくださっているからこそ出来ているんだということもちゃんとわかっている。それだけは、しっかり伝えたいんですよね。俺は離れていかない、だけど大きくなりたい。俺が夢を叶えていけば、俺みたいに夢を持った特にミャンマーの子供達にも勇気を与えられると思うから。身勝手かもしれないけど、これからも一緒に夢を叶えていけるような存在のアーティストでいられたらと思っています」
Writing:山田邦子
EP
8月19日(水)リリース
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