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菅田将暉と小松菜奈がダブル主演を務める映画『糸』で、菅田将暉演じる主人公・高橋漣の幼少期を演じる南出凌嘉。本作では、主人公たちが忘れられない恋に落ちる幼少期を熱演し、涙を誘い、鮮烈な印象を残す。その南出凌嘉に役作りや作品への思い、今後の目標などを聞いた。

自分と同年代の役だったので、理解できるところも多く、すごくいい経験になりました

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―― 中島みゆきの名曲「糸」をモチーフに、平成元年生まれの男女が出逢い、別れ、そして再びめぐり逢うまでの18年間を描き出す愛の物語『糸』。本作には、オーディションを受けて出演が決まったという。

「この作品はオーディションでした。出演が決まったとき、とても嬉しかったと同時に、プレッシャーも感じました。僕は主人公の幼少期を演じることが多いんですけど、今回は、幼少期の自分が恋に落ちて、その後の物語につながっていくという設定でしたし、出演シーンがとても多かったので緊張しました。お芝居の見せ場も多かったので、とにかく頑張ろうと思いました。脚本を読ませていただいて、いろんな人の人生が絡まって書かれていて、楽しい部分があったし、切なくて悲しくなる部分もあると感じました」

―― 演じるのは13歳の頃の主人公・漣。北海道の上富良野で生まれ育ち、13歳の時に葵と運命的な出会いをする。

「僕が漣くんに抱いたイメージは、明るくて普通の子でした。でも、運命的な出会いをして、好きになった女の子に関わってみたら、その子は自分とは正反対の環境にいて、自分ももしかしたらそういう立場や環境になるかもしれないという思いを抱いたと思います。でも、漣くんを演じる上では、ただただ普通の男の子を意識して演じました」

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―― 漣は葵を守ろうというひたむきな思いで、駆け落ちという行動を起こす。同年代としてどんなことを感じたのだろう。

「葵ちゃんの人生を背負おうとした漣くんは、勇気があってすごいなって思いました。漣くんは明るいし、サッカーもしていて、インドアな僕とは正反対なんですよね。だから、漣くんに対して憧れの気持ちもありました。葵ちゃんへの行動もですが、あの広い北海道を自転車で移動したりして、すごいなって(笑)。自転車は僕も好きなので、自転車のシーンでは苦労はなかったんですけど、坂道はさすがに疲れました(笑)」

―― 監督は、『64‐ロクヨン‐ 前編/後編』『8年越しの花嫁 奇跡の実話』など、人間ドラマの名手・瀬々敬久。

「監督は温厚で優しい方なのですが、お芝居の話になると、とても情熱的な方でした。僕自身まだまだ未熟なので、現場でたくさんのことを教えていただきました。僕が緊張していることもあって、ワンシーンワンシーン手取り足取り、細かいところまで丁寧に教えていただきました。こんなに若手の僕に対しても、監督が『君はどう思う?』って話しかけてくださって、自分が思う漣くんと監督が思う漣くんを合わせることができましたし、自分の最大限の力を出して、いいものができるように頑張ることができました」

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―― 漣と葵が運命的な恋に落ちる幼少期はとても重要なパート。その重責を担いながら、漣の感情面を丁寧に演じることを意識した。

「感情面では、初恋ということで、初めて恋に落ちるときの瞬きの多さとか意識しました。13歳の漣くんはいろいろな経験をして人と出会い、さまざまな感情が溢れていたので、その隠したいけど隠せない感情表情をするのがとても難しかったですが、微妙な変化に気をつけて撮影に挑みました」

―― 中島みゆきの「糸」は、糸を人に見立て、男女の出逢いの奇跡と絆の大切さを歌った楽曲。この曲には、幼い頃から慣れ親しんでいたという。

「中島みゆきさんの曲は、母がよく聞いていて、カバーの方が知らないというぐらいです。親近感があったし、『糸』をモチーフにした作品に出演することができて嬉しかったです。小さいときは、どんなことを歌っているのかよくわからなかったんですけど、成長するにつれて、歌詞がわかるようになってきたので、今回の映画のストーリーと歌と重なる部分に感動しました」

―― 完成作を見た感想も聞いた。

「僕はベテランの方々の幼少期を演じさせていただくことがこれまで多く、ベテランの方々にたくさんのことを学ばせていただいてきました。『糸』でも、たくさんの素晴らしい先輩方が出ていて、登場人物のキャラクターもとても個性豊かなので、こういう役はこんな演じ方をするんだとか、菅田将暉さんをはじめ、いろいろな方の芝居を見ることができてたくさんのことを教えていただきました。菅田さんは高橋漣のままというか、高橋漣として生きていて、本当に素晴らしかったですし、勉強になりました」

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―― 『糸』では同世代の役を演じられたことが大きな経験になったと振り返る。

「少し前まで、自分の年齢より少し小さい役を演じることが多かったんですけど、今回は本当に自分と同年代の役だったので、理解できるところも多かったですし、すごくいい経験になりました。夏と冬の撮影の間に、声変わりしたんですけど、そういった成長の過程も入れていただいて、等身大の中学生を演じることができました」

―― NHK連続テレビ小説『あさが来た』をはじめ、映画『ザ・ファブル』『キングダム』、ドラマ『ウロボロス~この愛こそ、正義。』『昭和元禄落語心中』など、俳優として活躍の場を広げている。これからますます楽しみな存在だが、将来の目標は?

「今は得意不得意がわかれてしまっているんですけど、将来はマルチというか、何でもできる俳優になりたいです。いろんな表情を持っていて、どんな役でも演じられるようになりたいですし。演じていて憧れを持たれるような役者を目指したいです」


Writing:杉嶋未来

インフォメーション

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(C)2020映画『糸』製作委員会

MOVIE

『糸』

8月21日(金)公開


北海道で暮らす13歳の高橋漣と園田葵は、互いに初めての恋に落ちるが、ある日突然葵の行方がわからなくなる。彼女が養父の虐待から逃れるために町を出たことを知った漣は、夢中で葵を捜し出し駆け落ちしようとする。だがすぐに警察に保護され、葵は母親と一緒に北海道から出て行ってしまう。それから8年、地元のチーズ工房で働く漣は、友人の結婚式に訪れた東京で、葵との再会を果たす。北海道で生きていくことを決意した漣と、世界中を飛び回って自分を試したい葵。すでに二人は、それぞれ別の人生を歩み始めていたのだった。そして10年後、平成最後の年となる2019年。運命は、もう一度だけ、二人をめぐり逢わせようとしていた…。

▼公式サイト
https://ito-movie.jp



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