「オーディションはいい緊張感を持ちながら臨むことができました。これまでも色々なオーディションを受けてきましたが、そのほとんどがまずは自己紹介から始まるのですが、今回は部屋に入るとすぐに芝居をすることに。演じる役もひとつではなく、かわるがわるやっていったので、どの役に選ばれるのかもわからない状態でした。堤幸彦監督の作品にぜひ出てみたいと思っていたので、絶対に受かってやる!という強い気持ちもありつつ、お芝居を純粋に楽しもうという気持ちが大きかったですね。落ちても悔いが残らないよう全力でやりきりましたが、返事がくるまではやっぱり不安で。マネージャーさんから連絡がきたときは、仕事で地方にいてほかの共演者とご飯を食べていたのですが、電話で「堤組が決まったよ」と言われた瞬間、めちゃくちゃ大きい声で「えーーーー!」と叫んでしまったほどびっくりしました。僕の大きな声でまわりも驚いたほど(笑)。さらに驚いたというか、予想外だったのはケンイチ役だったこと。僕のなかでは選ばれるなら8番のタカヒロかなと思っていたので」
「ケンイチは空気が読めなくて、とにかくうざいキャラクター。相手の気持ちも考えずに思ったことを口に出してしまうクラスに一人はいるであろう男子をイメージして、とにかくうざがられるように全身を使って演じました。堤監督からは顔からうざい感じが出るくらい思い切って演じてほしいと、何度も『もっとうざく』と言われていましたね。僕のなかにもそういう部分があるのか、最終的にはケンイチを楽しみながら演じることができました」
「本当の廃病院とスタジオを使って撮影をしました。12人が集まるホールはスタジオなのですが異質で……、空気感が怖かったです。12人が揃うとまた空気が変わって、緊張感が増しました。今回は長回しの撮影が多く、40分一気に撮ることもあって、まさに舞台。失敗できない緊張感もありますが、その分集中して演じることができたと思います。ケンイチは空気を壊すキャラなので、ピンとはりつめたなかでも思い切ってぶち壊せたのが楽しかったです。みんなそれぞれが集中して役に入り込み、撮影に挑むという感じでした。ただ休憩中は特に芝居の話をすることもなく、ゲームの話とか他愛もないことで盛り上がっていました(笑)。ゲームという共通の趣味があったので、マッケン(新田さん)や萩原(利久)くん、坂東(龍汰)くんとはすぐに仲良くなれました。同世代なので居心地の良さもありつつ、いいライバルというか刺激し合える仲間という気がします。役に憑依する人達なので、ひとりひとりの芝居を見ながら勉強になるところがたくさんありました。同時に、僕ももっとたくさんの作品に出て、みんなと撮影現場で会いたいと思いました。オーディション組も色々な作品に出ているので、負けていられないですから」
「うーん……。そこまで思いつめたことはまだないです。もちろん悩むことはあるけれど、できるだけプラス思考でいたいんです。自分のなかで整理をして、明日からまた頑張ろうと前に進みたい。これといったリセット方法はないけれど、何かに没頭していると自然と忘れてしまうんです。でも、ふと思い出す瞬間もある。100%なかったことにはならないけれど、仕事や趣味に集中することで自然と昇華されていく気がします。映画はタイトルや未成年が安楽死をするために集まるという内容を聞くと、過激な話に思われるかもしれませんが、悩みを抱えている人に観て欲しいと思っています。ひとりで悩んでいると周りが見えなくなることがあるけれど、そういうときこそ別のことに没頭すると冷静になれるというか、我にかえる瞬間があると思うんです。完成した作品を観て、結末を知っているはずなのに、この先どうなるんだろうというドキドキ感がありました。クライマックスまで気が抜けないけれど、観終わったあとには何かプラスになることがあると思う。悩んだり苦しんだりしてもいい、でも死ななくていい。生きていればいいこともきっとあるから」
「得られることがたくさんあって、撮影中は毎日が勉強だったし鍛えられました。特に、柔軟性が養われたかなと思います。監督からの指導に対しても、芝居をする相手とのやり取りもそう。その場で対応できる力がついたと思います。俳優としてまだまだこれからですが、この映画を通じて一歩前に進めた実感があります。具体的にこういう役をやりたいというよりは、まずはたくさん現場を経験して今回共演したみんなとまた芝居をするのが目標。いろんな現場で会えるよう頑張りたいです」
Writing:岩淵美樹
MOVIE
1月25日(金)公開
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