真山りか(以下真山)「この曲はMrs. GREEN APPLEの大森元喜さんに作っていただいたんですけど、メンバーの廣田あいかがMrs. GREEN APPLEの大ファンで、以前からちょいちょい曲を聴かせてもらっていて、第一印象としてはまず「ミセスさんの曲っぽい!」って(笑)」
中山莉子(以下中山)「最初の音の感じとか」
真山「そう。あと応援ソングって私の中のイメージでは「涙を拭いて」とか「前を向いて元気出して行こうぜ」とか、とにかくアゲてアゲてみたいな感じだったんですよ。でもこの曲は「ギャンギャンギャンと泣くことも大事です」って、泣くことを肯定してくれているのが、すごい自分の中で励みになった。私、元々そんなに明るい曲を歌えるタイプじゃないから、その歌詞を見てこの曲に対する気持ちがより入った気がしましたね」
安本彩花(以下安本)「私は……率直に(キーが)高いし低いし、難しいなと思ったのが第一印象だった(笑)。自分の中で課題曲にしよう、この曲が完璧に歌えるようになったら自分に自信が持てるだろうなって。あと大森さんの声で仮歌をいただいたんですけど、そのイメージがすごくよくて。爽やかなんだけど熱いものも感じる。パッと触れた瞬間はすごく柔らかいけど中身が濃い感じが素敵だなって思ったので、そのイメージはキープしてそのまま自分に沁み込ませられたらなって思っていました」
中山「私は、大森さんの歌を聞いたときに、勝手に歌詞がエビ中へのメッセージだ……って自分の中で沁みちゃって。私たちがこの曲をみなさんに届けなきゃいけないのに、まず最初に自分が受け止めちゃったので、これをどうしようってレコーディングまでずっと悩んでいました」
真山「Bメロの「テンション」のところかな。レコーディングで大森さんに「真山さんのパートにするから、みんなを引っ張ってく感じで歌って」って言われたんですよ。事前にそういうこと言われことがほとんどなかったから、逆にどう気合いを入れていいか分からず……(笑)。悩みました。何回かテイク重ねてもらって、仕上がったときに「あのテイクが使われたんだ」と、盤になってやっと答え合わせができたので、ライブでもそのイメージを忘れないようにしなきゃって思いました」
中山「先に言われちゃうとね(笑)」
真山「そう、気合が空回りして「ウォリャ!!」ってなっちゃった(笑)」
安本「私が一番好きな歌詞は「またねと手を振りニコっとね」。メロ的にも、うわって盛り上がるんじゃなくて、上がったところから下がっていく。押し付けるんじゃなくて、飲み込む感じの「ニコっとね」がすごいいいなって思って。だから単純な「ニコっとね」じゃなくて、下に引っ張るような、特別な「ニコっとね」を表現したいと思ってがんばったんですけど、でも私のパートじゃなかったんですけど(笑)」
真山「歌穂とひなただね(笑)」
安本「だから二人の歌声を聞いて、私は踊りながら勝手に「ニコっとね」を飲み込んでいます」
中山「私は全員で「僕らの「ファイトソング」」って歌ってからの「バイバイなんて言いたくないね」がすごく好き。一度まとまってからの、「バイバイなんて」に、なんか力を感じます」
真山「ライブ毎に探っている感じですよ。喉が壊れやすくて、自分に最も適した歌い方で、なおかつ個性が出る方法はなんだろうと。歌っていうものに対する自分の身体との葛藤は毎回あって。気持ちに関しては……私、自分がわけわかんないときが一番いいらしいんです(笑)。なんも考えてないときが。レコーディングのディレクターが今回から変わって、それまでの方はずっと2時間3時間くらいファイトしてくれたんですよ(笑)。私が無我の境地にいけるまで。今回はちゃんと意識のある状態でいいテイクを録ろうと。それが自分の中ではすごく新しかった。昔、水樹奈々さんがおっしゃっていて感銘を受けた言葉があるんですけど「できたての歌は赤ちゃんだから、これからライブで育てていく」って。本当にその通りだと思います」
安本「昔は綺麗な音を出すことが、聴いてくださる人には気持ちいいって理解していて、でもある時からそれがガラっと変わったんです。色んな経験をした中で自分が表現したことを「簡単にわかられてたまるか」っていう気持ちが芽生えたというか。単純に理解してほしくないって思ってからは、もっと深く感じてもらえるようにするにはどうしたらいいんだろうと考えるようになりました。表現することへのプライドが出てきたように思いま……(ヒュィッ)」
真山「ヒュィ!?」
安本「今、息吸うのと吐くの一緒にしちゃった(笑)」
中山「いい話だったのに(笑)」
真山「莉子ちゃんと私は方向性が一緒だったんだよね、レコーディングの」
中山「そう。感情を出せるまで何テイクも重ねるっていうのがたくさんあって。だから今回の曲は逆にレコーディングが不安でもあった。これでいいのかな……って。あ、レコーディングが不安のまま終わるのは毎回だけど(笑)。でも本当に、ライブで育てていくしかないなって、切り替えて」
真山「莉子ちゃんすごいんですよ。ライブになると超エモい」
安本「わかる」
真山「一生懸命歌ってるから、その一生懸命がどうしたって伝わってくる。ずるいな~って(笑)。それが出会った頃から変わってない。うまくなっているのに、全然色あせてないんだもん」
中山「えへへ(照)」
真山「今年は、特にライブの回数が多いので、自分たちの中でも新しい挑戦もたくさんある。前回のツアーの前は少し間があったんだけど、やっぱり私たちステージに立っているときと立っていないときと比べたら立っているときのほうが断然時間が長いから、勘は割とすぐに取り戻せた気がします」
中山「秋ツアーでは全国を回るんですけど、この間は大阪で、本当に地域ごとに、お客さんって違うんだな~って感じた」
安本「大阪は「アゲ~」だよね(笑)」
真山「今回のツアーは毎公演セトリが違うんですよ。お決まりの順番も全部なしに、それこそクライマックスで歌うような曲をドあたまに持ってきたりとか。覚えるのがもう大変。毎日が初日。その分だけお客さんの新鮮な反応があって楽しいんですけど。『エビクラシー』から聴いてくれてる人が、昔の楽曲で「あぁ新曲?」みたいな反応があったり(笑)」
中山「朝に練習だから、朝眠いとき大変……。ダンスの先生にも「朝苦手だけどがんばろう」って言われてます(笑)。毎朝自分をたたき起こして頭フル回転させてます!」
安本「お客さんと絡む機会も多いよね。質問聞いたり、リクエスト曲もらったり。MCも大変だけど、チャレンジって感じです。鍛えられてる」
中山「去年の秋ツアーを想像してた自分は、「あぁ舐めてたな」ってなってます(笑)」
真山「廣田の転校も近いのでここぞとばかりにやってなかった曲を入れようと。チームとしての士気はすごい高まってると思う。それぞれが「ここの位置が間違ってたよ」とか、自分たちの中の課題をお互い伝え合えるようにしてるので。そういう意味ではグループのまとまりが出てるなって感じがしますね」
真山「メンバーは……メンバーだよね。家族とも違うよね。つい「家族のような存在」って表現したくなっちゃうんだけど。友だちでもあるのは事実だけど、自分のプライベートの友人と比べると、やっぱりちょっと違う。仲間っていうのも、どちらかというとメンバーよりスタッフさんを指す言葉かもしれない」
中山「確かに。仲間っていうよりは「メンバー」だ。去年くらいまでは「仲間」って思ってたけど今年くらいから「メンバーはメンバーだ」って自分の中で思おうとしてる」
真山「誰とも違う、大事な位置にいる人たちだよね」
安本「すっごい分かりづらいと思うんだけど……雨の日に水たまりに落ちる人たち……泥まみれの中、それぞれが這い上がろうとしてるけど、上りたいっていう気持ちは一緒だけど、でもそれぞれの形で這い上がろうとしてる……そういうのなんていうんだっけ?」
真山・中山「???」
安本「泥まみれで同じ目的地に向かってる人たちのこと何ていうんだっけ?」
真山「同志??」
安本「う、ん、まだこの世に言葉がないかもしれない」
真山「安本が作るしかないよ」
安本「そうだな……人類」
真山・中山「広っ!!!」
Writing:西澤千央
SINGLE
11月8日(水)リリース
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